あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第192回定期演奏会

2005年9月9日(金)午後7時開演 [午後6時30分開場] 東京文化会館 大ホール

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲

 アンコール(ギター)…ウィリアムス:アルハンブラ宮殿の思い出

指揮:ジュゼプ・ポンス
カンタオーラ:カルメン・リナーレス  
ギター:ペペ・ロメロ 


 シューマン交響曲以来、約一年ぶりに東京シティ・フィルを聴く。前は結構聴いていたんですが、このところ予定が合わなくてなかなか聴きに行きたいけれどいけなかったので、何だか久しぶりな気がしたモノです。
 今回の演奏会の最大の目玉は、ぺぺによるアランフェス協奏曲でしょう。いやぁ、素晴らしかった。ギターの第一音から、東京文化会館の大ホールはスペインの景色が耳を通じて視覚化されていくかのようです。日本でも大萩康司や木村大、村治香織と実力のある若手ギタリストが活躍していますが、やはり熟練の技は違うなぁとまざまざと感じてしまいます。
 誤解の無いようにフォローしておきますが、彼ら若手がダメというわけではないです。むしろそのみずみずしい感性と思い切りの良さは若さゆえのモノですから(自分の歳は棚に上げて…)、それはそれで立派です。その時しか輝かないモノですからね。
 そうした若手の演奏とは対称的に今年61歳になるぺぺの奏でるアランフェスでの音色は暖かみのある音色でした。落ち着いたテンポによる演奏は、喩えて言うならば墨をいっぱいに含んだ筆で、しかしそれでいながら力みは一切無く書いた字のようです。オケの伴奏に合わせて伸びやかに、しかも詩情豊かにギターを奏でていました。
 特筆すべきは第2楽章のアダージョです。ここでのギターの音色は穏やかさの中に、切なさが隠れていて、ギターという楽器の真骨頂を見せつけて(聴かせつけて?)くれました。
 アンコールのアルハンブラ宮殿の思い出も「まさにこういう曲だ」と思わせる説得力のある演奏です。ただし、そこにはややもすれば押しつけがましいような意思とは皆無です。そうではなくて、そこにはギターの音が、アルハンブラ宮殿の思い出という音楽だけがあるような、そんな感じでした。

 ファリアは全体として良くなっていました。冒頭はややオケが堅いところもありましたが、指揮者のジョゼプ・ポンスはスペイン的詩情よりもスペイン・バレエに内在するリズム感や力強さをオケに求めているような印象を受けました。確かに、スペイン国立バレエ団のフラメンコ・バレエを見たときに受けた、本能的リズム感に共通するモノが今日の演奏会からも感じることが出来ました。恐らくそこがスペインバレエ音楽の醍醐味なんでしょうね。
 総じて言えるのはなかなかスペイン音楽もイイと言うことです。もっと聴かれてしかるべきだし、むしろ積極的に取り上げる価値は充分に持つ、幅広い支持を得るだけの力を持った音楽であるといえるでしょう。

ロドリーゴ:アランフエス協奏曲

ロドリーゴ:アランフエス協奏曲

このジャケットのぺぺはまだ若々しいですね。今回見たときは、なかなか恰幅の良さげで、白髪の元気そうな人でしたよ。