おじちゃん名前なんて言うの?
菊次郎だバカヤロー
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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ネタバレでも何でも良いんだけど(いや、良くないか)、一番有名なセリフは一番最後まで出てこない。反対に言えば、それが狙いかともいえるんだけどね。だからタイトルは菊次郎って出てくるのに自分でなかなか言わないので、結果として最後のセリフの効果を高めることになるように思う。
北野武ほど、「論」的に扱われる芸能人も珍しい。おそらく、ツービートで一つの時代を作ったっていうのもあるし、映画監督として海外で高い評価を受けているのもあるかもしれない。
他のビッグスリー(タモリ、さんま)に比べてたけしの活動領域が多岐だからだろうというのもある。あと、テレビで見せる芸人にたけしと本人とのギャップが大きいのも原因かも。さんまじゃ、オモテもウラも変わらないもんね。(この中じゃ、さんまが一番面白いんだけどさ)
話としてはいたってオーソドックス。いつも「めでたし」でしたで終わらないのが北野映画の特徴か。ショートショートのように短い話を紡いで、ひと夏を描いている。ね、オーソドックスでしょ?
北野映画のバイオレンス性は(あるにはあるけど)後景に退き、たけし流のコテコテの「完成された」笑いと、「キタノブルー」。
そいでもって、切ない感じが良く出ている。どこか屈折している少年時代を上手く描出していると思う。きっと、たけし本人は大団円が恥ずかしくてできないんだろうなぁ。自著で語られるたけしの少年時代のイメージが投影されているのかもしれない。
まぁ、本人にしてみれば「何適当なこと言ってやがんだバカヤロー」って言いながらシニカルにたばこを片手に笑うかもしれない。
とはいえ、ややもするとクセの強い北野映画の中ではかなり観やすいと思う。