あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京都交響楽団・東京芸術劇場シリーズ「作曲家の肖像」Vol.58〈ラフマニノフ〉


11月27日(日)開演14:00 東京芸術劇場大ホール

ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
(アンコール:プレリュードOp.32-12)

交響曲第2番 ホ短調 op.27
(アンコール:ヴォカリーズ)

指揮/ジェイムズ・デプリースト
ピアノ/横山幸雄


 のだめカンタービレにも登場した指揮者、ジェイムズ・デプリースト都響常任に就任し、定期会員の管理人からしてみれば、我らがデプさんなんですが、そのデプさんによるラフマニノフスペシャルです。
 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、以前、ロドリーゴのアランフェス協奏曲のところでも紹介しましたが、20世紀の2大協奏曲と呼ばれる程、現在でもポピュラリティを誇っています。
 管理人の個人的意見からすれば、リヒャルト・シュトラウスオーボエ協奏曲とかなかなか良いと思うし、今、NAXOSから出ている日本作曲家撰にも結構良い曲あると思うんですよね。
 都響定期で採り上げてくれないかなぁ…。


 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はのだめカンタービレでも採り上げられた曲だけに、普段クラシックを聴かない層も今回、のだめつながりで会場に訪れていたようです。(←以前新聞で採り上げられていた)


 さて、そんなラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ですが、感想としては、今ひとつパットしませんでした。結構期待してたんですが…。
 演奏自体はロシアのロマンティズムというか19世紀ロマンティズムの残滓が色濃く残るこの曲に対して、インターナショナルなアプローチというか、そーした主観性を抑圧した感じがしました。
 今回管理人のチケット購入が遅くなったため3階席だった、と言うのもあるんでしょうが、ピアノとオケとの掛け合い、言い換えれば、両者の息が合ってなかった印象が強く残ります。極端に言うと、練習不足な感じ。
 もともと、デプリーストの好みだろうと思うんですが、金管を抑制する傾向にあるので、チャイコフスキーラフマニノフなどでロシア系の指揮者がみせる金管群の咆哮を期待する管理人の好みとは違うというのもあったでしょう。
 しかしながら、甘美なメロディーラインを強調しても良いようなところでもあっさりと流してしまうし、曲中の加速も作為的で不自然でした。
 ピアノの横山幸雄も、そーした感の強い演奏。アシュケナージのCDが好きな人には良いかもしれません。ただ、リヒテルのCDが好きな人には物足りなさを覚えるんじゃないかなあ。
 でも、テクニックはさすがで、一音一音がとてもクリアーに聞こえます。ここの3階席は天井が高いため、ピアニストによっては混濁感のある音になってしまうのですが、粒立ちが良い、ハッキリとした音が聞こえてきて、デプリーストの目指した同曲とは親和性が強かった気がします。


 後半の、交響曲第2番ですが、以前、このコンビで演奏されたCDがレコード芸術誌上において同曲のベスト演奏だという宇野功芳の絶賛を得ていただけに、期待と不安がない交ぜでした。
 しかし、フタを開けてみると、納得の演奏。というより、前半のピアノ協奏曲第2番とは打って変わって、デプリーストは同曲を完全に自分のモノとして消化しています。ピアノ協奏曲の方がスコアがあって、交響曲の方は暗譜で指揮できるのですから、余程、この曲を熟知しているのでしょう。演奏頻度としては前者の方がずっと高いんですけどね。
 都響も、曲の冒頭から非常にきめの細かな弦でしたし、クラリネットをはじめとする木管群も均整のとれたアンサンブルを見せてくれました。
 思わず、ああ、力を入れて練習をしたのはこっちだったのね、と思ってしまうような演奏。
 プログラムにもあったように、ロシア的な力強さと暗い叙情、メランコリックな郷愁、そして何よりラフマニノフのロマン的な資質。これらが非常に良く描写されていました。とりわけ第3楽章のアダージョの素晴らしさ。
 デプリーストの要求に弦が完全によく応えています。素晴らしい!そして華やかな第4楽章。交響曲に関して言えば、非常な名演をしてくれたと言って良いと思います。


 アンコールのヴォカリーズは都響お得意の弦の伸びやかで艶のある響きがすばらしく、これもまた良かった。チケット完売のようですが、毎回、定期でもこれくらい入ってくれると良いですね。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

これは凄まじいピアノ協奏曲第2番。ロシア魂があるとすればまさにこれをおいて他にないのでは?と思わせる程。

都響創立40周年記念シリーズ 1965→2005→

都響創立40周年記念シリーズ 1965→2005→

宇野功芳が絶賛したラフマニノフ交響曲にして、都響との記念すべき初CD。