あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

イタチごっこと諦念に抗して②〜マンション耐震強度偽装問題

 前回の続きになりますが、ともかく耐震強度偽装の問題は圧力の可否も含めて、警察の捜査に委ねるところが多くなるでしょう。というのがまずひとつ。全容の解明にはもう少し時間が掛かりそうですね。
 そして、これだけ騒がれたんだから、これから建築するマンションに関しては恐らくそうした問題は起こり難くなるであろう、というのが二つ目。


 なのでこの問題、目下考えてもらわなくてはいけないのが三ばんめの、住民をどうするのか、ということです。政府は偽装マンションに住む住民の固定資産税を減免するといった措置を検討しているようですが、そんなの当たり前でしょう。
 だって「固定資産」なんですよ。資産じゃなくて、むしろ負債と成り下がったマンションに税金をかけるなんてあまりに人情がないし、そもそも正義に反する。
 いわば、ゴミに税金をかけるようなものです。まったくひどい。
 だから、政府がまずやらなくちゃいけないことは、偽装マンションに住む人に対して、引っ越し費用を給付するとか空いている公団住宅への転居を支援するとか被害者のケアを積極的にやらなくてはいけない。


 犯人探し(誰が一番悪いのか)や事件の背景を考えるのも重要だけれど、こうしている間にも不安に苛まれながら生活している被害者の心情を察する必要があるでしょう。
 それが一段落着いたら、再発防止のために一体何が出来るのか考えなくてはいけません。もっとも、関係官庁が違うから、同時並行的になされるのでしょうけど…。
 ところが、再発防止を考えたとしても、「結局は法の抜け穴を見つけて不正は無くならないに違いない」といったシニカルな見方をすれば、再発防止策を考えるだけ無駄であるという意見も出てくるかもしれません。
 しかし、現に困っているヒトがいて、それを救うためであるのなら、また、新たな決まりを作ることで、そーいった被害に遭うヒトを一人でも減らすことが出来るなら、法の制定は意味のないことではありません。
 それに、こうした不正でもって財をなす輩を社会に野放しにしておくのも公正な社会に反する。社会に秩序と行政への信頼をもたらすには、その社会が公正としての正義を遵守する必要がある。


 この関係は、自転車みたいなもんだと思います。法を制定してはそれを破ったり、抜け穴で新たな不正が生ずる。なので、新しい法をまた制定する…。と、イタチごっこの繰り返し。この繰り返しにも関わらず、諦めずに社会は不正をただすよう努力をし続けることで、社会は健全さを維持できる。諦めて、ほったらかしになると、自転車は倒れるように社会は秩序を失い、万人の万人に対する闘争状態となる。
 多分、不正は人間が社会を営むわけですから無くなることはないでしょう。だからといって、社会が真っ当に機能するにはこの永遠のサイクルを続ける以外に途がない。逆に言えば、完成体は存在しないのです。我々にあるのは、このまま放っておくのか、少しでもベターな方へと改善していくのかの二択でしかありません。
 民主主義論に近くなってしまいますが、管理人自身の結論としてはそのあたりになります。


 もっとも、具体的にどうすればいいのか?と言うことになりますが、利害が一致する関係者に検査をさせるから問題もあるのであって、消費者や自治体がどれだけ(専門性が要求されるにもかかわらず)業界を監視できるか、にあるでしょう。その点、前回での神戸市の例は参考になるかもしれませんし、建築士の免許(一度取得すると生涯有効)を管理するようにする、などが考えられると思います。
 それと共に、不正をした場合に、今日の消費者は非常に厳しい態度をとることを充分考慮して、業界全体でチェック機能を果たすよう、自助努力も求められます。本来であれば、真っ先に動かなくちゃいけないところなんですけどね。情報の公開、これが重要です。ブラックボックス化するところ、不正の温床となるのは必定です。


 次元を下げてしまえば、個人レベルで、友人が建築士っていうのが安全でしょうね。付き合いは幅広くだなぁ。