あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

2005-2006シーズン有終の美@都響定期演奏会感想

東京都交響楽団第623回定期演奏会Aシリーズ

2月6日(月)開演19:00 東京文化会館

指揮/ヤン=パスカル・トルトゥリエ
ヴィオラ/ブルーノ・パスキエ

リスト:交響詩前奏曲

バルトークヴィオラ協奏曲

バルトーク:オーケストラのための協奏曲


 2005-2006年のシーズンは今回で終了。「東京都」交響楽団らしく年度単位のプログラミングなんですね。一回券ばかり買っていた→半年の定期会員→年間定期会員と徐々にバージョンアップしてますが、はたしていつまで続くことやら…。
 でも、管理人くらいの世代が支えないと日本のクラシック音楽界は立ち枯れしちゃうんじゃないのか?と思うので(教養主義の没落が大きな原因かも!?)、都合がつくかどうか分からないものの、頑張って定期会員を続けるつもりではいます。
 来年度も頑張れ都響。ヨーロッパのオーケストラの来日公演だと1万円を優に超え、下手すると3万円くらいしてしまう中、都響の安価な価格設定は本当に素晴らしいことだと思う。「本場」志向の強い人に言いたい。将来、本場と遜色なくなるためにも国内オケを聴け!!


 昨日のガヴリリュクに引き続き今日もコンサートになってしまったのですが、まぁ二日連続でも許してください。明日はデスノートの感想でも書きますから(笑い)。
 さすがにフルネ・ラストコンサートとは違って、今日は満席ではなかったですね。でも、ガラガラって言うわけではなくて、定期会員でそこそこ埋まっている感じ。75%いかないくらいではないでしょうかね。でも、東京文化会館は2500人収容なので単純に75%の入りでも1900人弱は居るじゃないですか。これを常時85%くらいの入りにしたいものです。まぁ、関係者じゃないんですけど…。


 最初の交響詩。出だしから弦を中心に非常に鳴りが良く、安定した展開をみせます。指揮者のトルトゥリエ(日本人には読みにくい名前だ!)はいま一番脂ののっている年代でしょうか、オーケストラのコントロールが非常に良くできています。14歳の時にパリ音楽院でヴァイオリン部門の第1位を獲得しただけあって、弦に対する配慮が非常に良く感じられてます。先月の若杉の時とは明らかに違う。
 指揮者が弦に明るい人間だと、団員のボウイングに対する姿勢が格段に良くなる。弾かせるべきところ、抑えるべきところをきちんと抑えてしなやかな都響の弦楽器の特長が非常に生かされている。恐るべし、トルトゥリエ。これは3年ごとドコロではなく、毎年、それがダメでも隔年くらいで呼べばいいのでは?
 ただし、棒振りは端から見ていて上手くない。とはいっても指揮棒を使わないんだけど…。なんだか踊っているというか、手をばたつかせている感じがして、機能的ではないです。分かり難いところもあるし。
 ただ、反対に「分かりやすい」指揮法なら良いのか、ということですが…。伝えるべきものがないのに指揮法ばかり上手くてもダメだし、ピアノやヴァイオリンとは違って生身の人間相手だから、人格などの単純に「技術」を超絶した要素が大きい職業でしょう。


 リストの音楽は、ロマン派の音楽家として交響詩という一ジャンルを確立しただけあって、とても主観的。それがあまりに私小説的ではなくほどほどに分かりやすいので、リストの交響詩の中でもこの「前奏曲」(レ・プレリュード)はオススメかも。
 バルトークヴィオラ協奏曲。ソリストのパスキエはバルトークに愛着があるのかなぁ。管理人は無いですね(苦笑)。渋いというか、この良さが分からないのです。
 パスキエも盛りを過ぎてしまったようで、ニュアンスに不足するし、音も出てない。でも、終わった後、指揮台の上からトルトゥリエは「ブラボー」って言っていたので良かったのかな。だとすれば、(そうは思わないんだけど)、この曲自体が効果の上がりにくいものだということですね。
 ラストのオーケストラのための協奏曲。これもリストの時と同様。アンサンブルは非常に均整が取れてます。内声部が充実していて、それでいて重すぎないのはやはりトルトゥリエの薫陶が良かったのでしょう。それに、いつもは不満が残る木管がとても良かったのが大きな収穫。
 だとすれば、耳が良いから、木管へきちんと指示が出せるのでしょう。
 曲自体も、1944年の作にしては難解さはなく、分かりやすく効果の上がりやすい曲になっています。ただ、その一方で、当時、親ナチス化した母国ハンガリーに反対し、アメリカに亡命して、貧困と白血病の中で作曲した曲だけに非常に精神的には重たい、ただし、そこには救いを見いだす音楽です。
 死を前にしながら、最後は生命力の具現化を音楽で表現したバルトーク。そこを抉るような演奏だったか、といえば、その点は弱かったものの、不満が残るほどでもなく、安心して聴ける演奏でした。
 めでたしめでたし、といった演奏会で良かったです。

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

バルトークに師事したこともあったというショルティの「オケコン」。