不惑の作品〜都響第324回定期演奏会より
第624回定期演奏会 2006年4月12日(水)19:00 サントリーホール
指揮:ジェイムズ・デプリースト
曲目:モーツァルト:交響曲第29番イ長調
ブルックナー:交響曲第2番(ハース版)
2006年度の最初のコンサートはもちろん都響。
しかも、普段演奏される機会の少ないブルックナーの交響曲第2番。しかも指揮は我らが都響常任のデプリースト。これは期待が高まります。
それと共に、都響ならではの団員紹介パンフが配られるのがこの季節。
しかし、数年来続く、都響への補助金の減額が響いているのか、今回初めて中身がカラーじゃなくなりました。白黒、とは言わないモノの、「白ブルー」です。
まぁ、パンフに金を掛けなくても良いんだけどさ。ただ、問題は団員数が少ないことだよね。第1ヴァイオリンが12人(数年前まで16人いた)…と全体的に数が減っている。
石原慎太郎も「東京オペラの森」とかしないで、今ある財産を活用したら良いんじゃないかなぁ。ただ、あの御仁にしてみれば、自分の思うとおりにならない都響が憎たらしくてしょうがないんだろうけどね。
今まで、都響の理事長は都知事が務めていたけれど、石原慎太郎になってから理事長を降りたしね。都響が税金ばかり使っているというのが気に入らないんだろうなぁ。そんなに金がないんだったらオリンピックなんて誘致しなきゃ良いのに。
彼の場合は「善し悪し」もさることながら「好き嫌い」で政治をしているきらいがあるのが問題だろう。総理待望論なんかあったけれど、その器じゃないな。ま、それを自覚していたから都知事に転身したんだろうけど。
てなわけで、補助金の削減が目に見えて分かった2006年度の都響は果たしてどうなるのか?と思ったんだけど、いやいや、これが良かった。
前半のモーツァルトは古典的な造形美が活かされた演奏。これといって奇を衒うことなく、端正なモーツァルト、言い換えれば「古典派」のモーツァルトです。
ただし、良くを言えばモーツァルトだけにもう少しオケの自発性が欲しかった。前プロだったからかもしれないけれど、ちょっと堅かったし。
しかし、モーツァルトの29番とブルックナーの2番というプログラミングは良かったとおもう。クラリネット協奏曲とかでも良かったけど、ちょっとそれだと2番の方が浮いちゃうかとも思うし…。
後半のブルックナーの2番。Liveで聴くのは始めて。これでようやく管理人は第2番から第9番まで聴いたことになります。
今日のタイトルなんですが、解説を読む限りでは第2番はブルックナー40歳の時の作品らしいですよ。「四十にして惑わず」。ブルックナーの場合、祈りまくっていたんでしょうが…。
演奏は、ヨッフムの演奏に近い。あまり造形を大きくし過ぎないで、ブルックナーという割合にメリハリのない音楽の中でも「相応に」(笑)メリハリを効かせつつ、それでいてブルックナーのフォルムを崩していない、秀逸なる演奏でした。
来週は第9番だけれど、デプリーストにとっては第2番の方がスタイルに合っているのかもしれない。第2番は後期のような響きとはまた違って、素朴さがあるから、金管を抑制気味にするデプリーストの指向性から考えると9番よりも2番の方が相性が良さそうにも思えますね。
後半に関していえば、第1ヴァイオリンは16人いたから、退職したかつての団員か、全く別のエキストラかのどっちかかな。でも、弦を中心に良くまとまっていたし、今回は木管金管共にすごく「きれいに」鳴ってました。
第2番としてはすごく満足できるモノだったのではないでしょうか。
ちなみに、月曜日の325回定期演奏会も行くつもりです。楽しみだな♪
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