あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

新しい波の到来〜外山啓介ピアノ・リサイタル

 月曜の演奏の感想についてはトラックバックして下さったGAKUさんはじめ、いろんなところで詳しく紹介されているのでそちらを参照にして下さい。やっぱり「相応に」満足しているんじゃないでしょうか。
とりわけはろるどさんのこちらのblogは詳しいです。

東京都交響楽団 「ブルックナー:交響曲第9番」他 4/17 - はろるど
 デプリーストの演奏では文化会館で聴いたマーラーの巨人が感動的だったなぁ。


 月曜に引き続いて、二夜連続でコンサートに行ってきました。
 タイトルにもあるように今回は日本ショパン協会の例会で、ピアノ・リサイタル。
 外山啓介は日本音楽コンクールで1位になったことから、一度は聴いてみたかったのですがようやく今回その機会を得た、というところです。
 個人的に邦人演奏家を、同世代の活躍を、後押しすることが大事なんじゃないかなぁと思っているので、そうした日頃の姿勢からも今回のリサイタルには行ってみたかった。
 でも、「リサイタル」っていうとなんだかジャイアンのリサイタルみたいな感じがするのは管理人だけではないはず。


 ところで日本ショパン協会だけでなく、ほかにも日本モーツァルト協会やブラームス協会、シベリウス協会などもあります。けれど、日本ベートーヴェン協会ってないんですね。意外な感じですが、何故なんでしょう?


 外山啓介は管理人よりも年齢からすれば1つ下。現在は東京芸大のmaster1だそうです。管理人が人生の浪人をしているがゆえに学年は一緒ですね。同じM1とは思えない差の開きっぷりorz
 舞台に登場して驚きました。ロン毛とは言わないモノの、長めのミディアムヘア。ミディアムなのかなぁ、もうロングとの中間くらいまであるような気もするし。髪の毛の色はライトブラウン。
 僕もあれくらい明るかったときもあったけれど、今はダークブラウンだし。だからどうした、っていうコトでもないんですけれど分かりやすく言えば外山は「イマドキの若者」ってところです。ただし、その「イマドキの若者」は日本音楽コンクールの覇者。そこが違います。
 当日は芸大関係者なのか、同じくらいの年齢のひとたちが多く来ていました。「(某ピアニストの名前)先生が…」っていう話をしているのを聞くと、ああ、やっぱり関係者だな。と思うのです。
 でも、彼らがその前日の都響のコンサートに来るかと言えば、やはり来ない。関係ないと思っているのかな。
 管理人は大学院で政治思想を研究していますが、それでも他の政治過程論や比較政治学の研究発表なんかも聞きますし、多少はやはり勉強します。つまり何が言いたいかと言えば、自分の専門分野だけではなく、その周辺も将来的には非常に大事なのではないか?ということです。直接の関係はないかもしれないけれど、全ては有機的に繋がっていると思うので幅の広さは大事だろうと思います。


曲目 ショパン:華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12
         ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 op.35
         2つのノクターン op.62
         ピアノソナタ 第3番 ロ短調 op.58


 演奏についてですが華麗なる変奏曲はややフォーカスのぼやけた印象を持ちました。この曲をどうしたいか、聴き手の僕には今ひとつ分からない。
 ピアノ・ソナタは結構良かった。その思い切りと、ダイナミズムが実に若いだけあって溌剌としています。時折みせるルバートやffになるところで実に伸びやかに豊かな音量など、高揚するところではさすがグランプリと思わせられます。
 それだけに留まらず繊細さも兼ね備えているのですが、その繊細さを曲の表現に結びつけて説得力あるものにするには今ひとつだった様に思えます。
 気になったのが、東京文化会館の小ホールはそんなに悪い響きではないですが、やはり紀尾井ホールなどに比べると残響に不足するために、休符の処理に難しいところがありますね。
 というのも、曲のところどころで意識的に休止符を強調するのですが、ホールの残響に豊かさが不足するため、その休止が生きず、なんだかブツブツと音がぶつ切れるような変な錯覚にとらわれてしまう。
 ケンプやミケランジェリはホールの響きから鍵盤のタッチやペダルの踏み方をその都度変化させたと聞きますが、まだその域には達していない。
 でもまぁ、まだ若いし。それに華があるピアニストだからこれから頑張って欲しいですね。舞台をこなしていくうちに素晴らしい演奏をしてくれると思うなぁ。
 ガンバレ。と応援。そして自分にファイト(苦笑)。

追記(2008.11.1)

もうこの記事自体が2年前なんだなぁ、と思いつつ。それから2年後の話ってことで。
カラッとした詩情?@フレッシュ名曲コンサート ロシアの甘美な旋律 〜外山啓介の奏でるラフマニノフ〜