あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

会期終了解題。

 国会が会期末を迎えた。
 政治学が本職でないヒトのために説明すると、国会にはいくつかの種類があって、

  1. 通常国会憲法で義務づけられ、毎年1月に始まる議会。期間(これを会期って言います)は150日間。目安として1〜3月までは予算の審議→成立を。4〜6月までは重要法案の成立を目指す。
  2. 特別国会…衆議院選挙後に開かれる議会。「選挙」という国民の審判を経たことと、その結果、議席数の変動を受けるので総理大臣の指名、正・副議長ならびに各種委員会委員長の選出などが行われる。
  3. 臨時国会…議員の4分の1の要求で開かれる文字通り「臨時の」議会。日本の国会は①の通常国会が150日間という審議時間の短さから法案の審議が間に合わず、引き続いて審議→可決成立させる必要が出てくる。なので、例年秋には臨時国会が開かれるのが普通。


 1月から150日間だから延長さえしなければちょうど今頃で会期は終わるわけですね。小泉首相はどーいう思いがあったのか、会期を延長したくなかったようなので、国会は終わったわけです。9月退陣だから、最後は諸外国歴訪をしたいのかなぁ。


 150日間の会期が終わった段階で、今回のように会期延長がなかった場合、審議途中の法案は次の国会に継続審議となるか、審議未了で廃案となるかのどちらか。
 今年は政府提出法案の90%以上が成立したようですが、懸案だった、共謀罪憲法改正のための国民投票法案、教育基本法改正案など重要法案はみな審議未了で、継続審議となったのは報道の通り。
 これらの法案は日本国憲法の施行以来続いてきた「戦後民主主義体制」に変化をもたらしかねないので、継続審議となったのはひとまず良かったのではないだろうか。
 これら法案を成立させるにしても廃案にするとしても、いずれにせよ国の根幹に関わることなので通常の法案よりも慎重に議論を尽くすべきものであり、小泉内閣の人気に便乗して「駆け込み」で成立させようとしてはならない。
 そうした観点から継続審議なったのは「民主主義の手続き論」から考えて良かったのかな、と言う気がする。


 そんな中、成立が絶望視されていた「ガン対策基本法案」は山本孝史民主党参議院議員参議院本会議での質問に先立ち、自らがガン患者であることを告白して、与野党の対立を超えて法案の成立を訴えたこともあって、ギリギリで成立したのは良かったと思う。
 政治家にとって病気の公表というのはリスクが大きい。特にガンのように一般的に「ガン=助からない」というイメージを有権者が持つとそのひとの政治生命に致命的ダメージを与えかねない。
 そんな中、全参議院議員が集まる本会議の壇上で自らのガンをカミングアウトする山本議員の決断は素晴らしいと思う。
 ガン患者にとってみれば、自分たちの病気は法案の成立いかんに関わりなく進行してしまうから、これによって一人でも多くの命が救われる手助けになるだろう。自身も患者となった山本議員にとってみれば、そのことがよりいっそう身近に感じられるのではなかろうか。
 もちろん、患者らの要求する「登録制度」はプライバシーの観点から見送られたが、ひとまず大枠だけでもあるとないとでは違うのではないだろうか。繰り返しだけれど、患者は大勢存在するし、病気は時々刻々と進行するものだから。
 ともかく、与党にも良心の存在を示す格好の事例となった。もっとも、ガン対策基本法案のような法案はイデオロギー的な色彩を帯びないが為に成立しやすいと言えばそうなのだが、しかし、そこが非常に重要な点がある気がする。


 山本議員はまだ56歳。さて、改選を迎える来年の参議院選挙には立候補するのだろうか…。


立法過程 (現代政治学叢書 12)

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立法過程を知るためには必読書。政治学専攻なら、って話ですが…。