あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

イタリア音楽の魅惑@東京都交響楽団第629回定期演奏会

2006年6月27日(火)19:00(開場18:20)東京文化会館


ロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」序曲
レスピーギ組曲「ロッシニアーナ」
ストラヴィンスキーバレエ音楽「プルチネッラ」(全曲版) *


指揮:ジョアン・ファレッタ
ソプラノ*:半田美和子
テノール*:経種廉彦
バリトン*:福島明也


 先々週に池袋・東京芸術劇場でオール・ベルリオーズ・プログラム(作曲家の肖像シリーズ)を聴いたのに続いて、今回は定期演奏会。今回の指揮ももちろんジョアン・ファレッタです。
 ベルリオーズの時もそこまで期待はしていなかったんですが、非常に演奏が良かったので、今回の定期演奏会も期待していきました。


 今回のプログラミング、とても良くできています。それは…。
ロッシーニ(1792-1868)
レスピーギ(1879-1936)
ストラヴィンスキー(1882-1971)
という組み合わせ。指揮者のファレッタも「作曲家同士が握手をしている」かのようなプログラムといっただけのことはあります。
 しかも、ロッシーニレスピーギはイタリアの作曲家。ストラヴィンスキーはロシアの作曲家ですが、「プルチネッラ」の題材はイタリアの作曲家・ペルゴレージの曲を編曲したもの。だからひと味違った、オール・イタリアン・プログラムだといえるでしょう。


 指揮者のファレッタの祖父母がイタリアからアメリカに渡った移民だということで、ファレッタにとっても、自分のルーツを探るようなそんなプログラムだったと思われます。
 さて、ウィリアム・テルでもお馴染みのロッシーニは肝心の見せ場(聴かせ場!?)であるホルン・ソロが今ひとつ。ホルンという楽器では致し方ないところがあるんですが、今ひとつニュアンスに乏しい。もっとハッキリと吹いて欲しいところがありました。
 続くレスピーギの曲は「ロッシニアーナ」というだけあって、ロッシーニの曲を題材にした曲です。和歌でいうところの本歌取りみたいなもんでしょうか?
 ファレッタの指揮は非常にメリハリがきいていて思い切りがあり、弦を中心にしなやかに歌わせます。よくイタリア音楽は「カンタービレ(=歌)」が大事だと言いますが、過度に強調することなく、のびのびと楽器に「歌わせる」ところは歌わせて、手綱を引き締めるところはきちんと締める、といった感じです。


 後半のプルチネッラはストラヴィンスキーの一般的なイメージを変えるには充分な曲。どうも管理人もストラヴィンスキーといえば「春の祭典」や「火の鳥」のようなリズムを刻む曲ばかりを連想してしまうのですが、ここでは前衛からは遠ざかったかのように思えるスタイルの音楽を書いています。要するにストラヴィンスキーの曲なのにメロディがあるんですよね。もっとも先にも挙げたようにモチーフはイタリアの作曲家・ペルゴレージの曲ですが。
 編成も極めて小さく、クラリネットを除く2管編成。第1ヴァイオリンも4人(あれ、6人いたかなぁ…)という指定がなされています。
 第1ヴァイオリン4人っていうのは少ないんですよ。普通は12〜16人くらいが今日的にフツーな中、4人ですからね。
 逆に言えば、非常に透明感のある、まさに「室内楽」的なアンサンブルの妙を楽しむことが出来ました。くどいようだけれど、都響の弦は非常にイイ。ああ、独唱陣3人も良かったですよ。


 ファレッタはなかなか非凡な指揮者だと思った。女性ということはおいて、技量があるので定期的に都響に来て欲しいですね。スウェンセンじゃなくてさ…。