あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

長野県知事選挙の結果・雑感

 苦しんでいる(笑い)最中にあって、村井候補当選を知る。
 もともと「理念的に」田中康夫に対抗しようとしたのではなく、単に、田中康夫の「政治手法」が気に入らなくて、県議会多数派によって担がれた候補なだけに、今後何をしようとするのか、サッパリ分からない。


 長野県議会の多数派にしてみれば、ちっとも自分たちの言うことをきかない田中康夫は非常に気に入らなかったに違いない。青島幸男堂本暁子無党派層の支持を受けて当選した「無党派知事」も当初は議会と対立したが、やがては一応の協力関係が存在したし、現にしている。
 その点、自ら「折れる」(=譲歩する)ことのない田中康夫は県議会多数派にとって見ればまさに不倶戴天の敵であり、いつかはズリ落としたかったに違いない。ただし、4年前の不信任案→再選挙、の愚を繰り返さないために彼らは世論を敵に回さないように、世間の注目を浴びないように選挙戦まで持ち込んだと言えるだろう。
 その点、今回の県議会多数派の作戦は成功したと言える。郵政民営化反対の側について、立候補を断念したいわば「賞味期限の切れた」政治家を見事にリサイクルした手腕は大したモノだと言える。


 ただし、注意しなければならないのは、「知事と議会の対立」という選挙戦で争点になったこの構図、全ての責任が田中康夫一人にあるというイメージを持たせていたようだけれど、果たしてどこまでそう言えるのか。「地方議会」と「自治体首長」との関係というのはそもそも一方に責任が帰せられる問題であったのか、ということを検討する必要がある。


 さらに付け加えるなら冒頭にもあげたとおり、「田中康夫的」な政治手法への拒否反応から登場した村井仁が県議会多数派及び連合長野の手厚い支援を受けて当選し、知事になるわけだ。
 しかし、選挙協力を受けた議会ともたれ合うこと無く、また県職員(連合の組合員が多かろう)に遠慮無く改革を続けられるか「賞味期限の切れた」政治家か、あるいは見事にリサイクルを果たした政治家か見極める分水嶺となろう。もっとも長野県民にとって見れば後者が望ましいに違いないし、管理人個人としてもそう望みたい。


 議会多数派と「協力関係」にあった田中康夫の前任者、吉村午良はその「協力関係」によって長野オリンピック、新幹線、高速自動車道をもたらし、引き替えに長野「県」という自治体が抱えるには膨大な約1兆円の負債を遺した。
 村井陣営では前任者を「独裁者」と呼んだ。しかし「独裁者」は6年間の在職中に1000億円ほどの負債を返還させた。(田中康夫の評価はまた時を改めて)
 実のところ、村井仁(9月1日より)長野県知事に残されている行政上の選択肢は非常に少ない。県財政、将来の長野県の産業構造を考えると前任者の政策とそれほど大きな変更はないだろう。もちろん、吉村・元知事のような路線へとシフトするかもしれないが、そうなった場合の長野県は都道府県レベルでは第1号の「夕張市」となるだろう。