安倍晋三新総裁誕生@自民党総裁選解題
新聞や雑誌を読みながら、以下、個人的見解。まだメモ段階だけど。
安倍晋三当選とはいうものの、予想外に得票が伸びなかったな、というのが第一印象。
これまでの自民党総裁選では、野中広務や亀井静香といった、それぞれ属した派閥は違うもののアンチ小泉−安倍の流れ、言い換えれば森派に対抗する有力な勢力が存在した。
しかし、前回での総裁選や郵政解散によりそうした党内反対派はほぼ一掃されて、いうなればもはや党内に「敵無し」状態であったから、今回の総裁選は「寄らば大樹」で、雪崩を打ったように安倍支持が広がるのかな、なんて思ってた。
しかし、結果として得票が全体の3分の2にとどまった、ということは「アンチ安倍が3分の1いる」ことの証明である。けっこうこの3分の1という数はバカに出来ず、間もなくできるだろう安倍政権への批判や違和感が党内から表明される必要条件は整ったとも言えるのではないだろうか。(小泉政権の時は抵抗勢力のレッテルを貼られるのを恐れて物言えば唇寒しだったが…)
それとともに安倍晋三の掲げる政策は必ず反対者を生むように思う。というのも、安倍晋三の掲げる政策は非常にイデオロギー的であり、そうした政策を推進する場合、かならず反発が生まれるということだ。
つまり、経済発展や福祉政策、環境問題へのとりくみというのは国民の合意形成が図りやすい。極端に言えばスタンスとして保守でもリベラルでも基本的には賛成する政策だ。
しかし、外交、安全保障、憲法という問題は非常にイデオロギー的な要素が多いためにコアな賛成者と共にコアな反対者を生むことになるだろう。安倍晋三の主張の一つに「戦後レジームからの脱却」が掲げられているが、現代史家の理解に従えば、戦後レジームとは「日本国憲法のもとでの、民主主義、軽武装、経済発展路線」ということになるだろう。
この路線は別に当時の左翼勢力が確立したものではなく、吉田茂によって方向付けられ、その後の自民党と社会党との対決、しかしある意味でのコラボレートによって成立したものである。
そうして考えると、「戦後レジーム」を継承しているのは自民党内にも当然存在するので(谷垣派や広義で考えれば津島派なども含まれる)、安倍政権で取りかかるであろう戦後レジームからの脱却はそうした党内での「戦後レジーム維持派」との調整を余儀なくされるであろうし、自民党以外の勢力、とりわけ社民、共産、民主(左派)といったかつての革新政党の流れを汲む政党(社共はいまだ革新だが…)からの激しい批判や朝日、岩波といった「戦後リベラル」からの反対に遭うのではないだろうか。
恐らく、国会内での議席数から見ればあっさりと目的は果たされるのかもしれないが、そうなった場合どうなるのか、というのはまた別のエントリで…。
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