あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

アメ政

 「アメリカ政治論」のことを学部時代、略して「アメ政」と呼んだ。
 もっとも、アメリカ政治論を講ずる教授の授業レベルが酷すぎるというのがもっぱらの評判だったので、管理人は履修しなかった。なので、アメリカ政治に対して相応に勉強した記憶はあまり無いなぁ。研究の都合で、アメリカ政治史を多少は追ったことはあったんだけどね。


 さて、今朝の朝刊、トップ記事はアメリカの中間選挙である。


 アメリカは日本と同じく二院制を採用している。
任期6年の上院(←参議院に相当)と任期2年の下院(←衆議院に相当)がある。
 日本の衆議院は「解散」があるけれど、アメリカの下院には解散はない。その代わり、任期はたったの2年。実際に選挙の準備があるのでまともに議会活動をするのは1年だけだと言われたりもする。定数は435人。
 上院は定数100。アメリカ合衆国の「衆」っていうのは「states(=国家)」という、アメリカ特有の事情から、上院は各州の代表という位置づけだ。1つの州から2名の上院議員を選出するのだけれど、日本の参議院と同じく一度に全員を改選しなくて、3分の1ずつ、つまり33人を改選する。


 で、この先が面倒くさいんだけど、アメリカの大統領選挙は、任期が4年(確か閏年のある年にあるハズ)。繰り返しだけど、下院は2年。
 だから、大統領選挙の2年後に下院はまた選挙になる。大統領の任期途中で行われるこの選挙を「中間選挙」といって、大統領の2年間の評価が反映される傾向が強い。
 

 ちなみに、人口2億8000万人ほどのアメリカのにしては上院100人、下院435人という議員は日本に比べても少ない。だから日本の議員ももっと減らせるとい議論があるわけだが、それは「アメリカ合衆国」という日本とは異なる政治体制を持つ国だと言うことを完全に理解していない発言だと言える。管理人自身の個人的判断だが、そんな主張をする議員や評論家はハッキリ言って無知だと思う。自分の無知をそんなに曝さなくても良いのに…。
 アメリカは州に非常に権限が強い。日本なら国会で議論することも州の議会で議論される。誤解を恐れず、極端に言えば日本の国会の方が中央集権的なのでそれだけカバーしなければならない問題(≒仕事が多い)ので議員の数はアメリカより多くなる、ということだ。


 さて、報道にあったように、今回の中間選挙。久々に民主党が下院の過半数を獲得した、とある。アメリカは二大政党制だ。これも(複雑なんだけど)単純化すると

 
といった、具合に区別できる。なのでアメリカの選挙は政治路線をめぐる対決という側面が結構強い。その点、自民党がやたら強い日本とは大違い。


 民主党が下院で過半数を取った。ということは、ブッシュは共和党を母体とするので、これから議会運営が難しくなる。ということだ。
 もっとも、議院内閣制とは異なり大統領制は国民から選ばれる存在なので、議会を無視して我が道を突っ走ることもできるのだけれど、果たしてどうなるか?ブッシュの性格にもよるな。どのみち、もう再選してしまったから、あと2年好き勝手にやるかもしれないし、共和党に遠慮して多少トーンダウン、路線の修正をするかもしれない。


 日本にとっては難しい局面になったといえるだろう。
 というのも、いまの日本の外交政策が「アメリカにベッタリ」というよりはどちらかと言えば「共和党にベッタリ」といえるからだ。つまり、ブッシュと小泉の個人的親密さと、新自由主義的政治路線の近さが現在の日米関係の親密さの成因だと思う。
 その親密さを背景にここ数年は北朝鮮を含めたアジア政策を採っていたフシがどうも強い。けれど、共和党アメリカから民主党アメリカへと今後シフトしていく可能性が、今回の中間選挙で出てきたのである。そこまでいかなくても、ブッシュ政権が強硬的な外交方針を転換する可能性は充分出てきた。
 仮に、ブッシュ政権の外交方針が転換ないしは軌道修正した場合、日本外交は後ろ盾を失うことになる。そーなると、下手をすればブッシュと日本が外交的イニシアティブを発揮できず共にズルズルと沈んでいくという可能性もある…。


 こうなることも予想して日本政府は外交方針を決めなくちゃいけないのにね。