あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

相手のことを考える


柳沢厚労相:子ども2人以上「健全」発言、波紋に拍車(毎日新聞)】
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070207k0000m010115000c.html


 一連の柳沢大臣の発言に対するblogや日記の反応を見ると案外「柳沢頑張れ」みたいなコメントがあって考えてしまう。

 そうしたコメントはマスコミや野党を批判していて、とりわけ福島瑞穂社民党党首に対する罵詈雑言がすごい。批判の内容がおかしいと言うよりも「福島瑞穂」という人物に対する拒否反応である。確かに、的外れな話が多い福島党首だが、しかし、今回に限って言えば(管理人としても珍しく)当を得ているし、取り立てて批判されるような内容ではないと思う。

 個人的に気になるのは福島批判をする人間が柳沢発言を「揚げ足とりだ」といっているのと、実は同じ轍を踏んでいることに気づいていない、ということだ。
 つまりどちらに共通するのも発言の内容を批判しているのではなくて、発言者その人への批判である。まぁ、極端に言ってしまえば人格否定のようなもので、そこで優先されているのは「理性」ではなく「感性」である。


 しかし柳沢大臣は「厚生労働大臣」であるのに、そのあたりの配慮が足りない。、「こーいうことを言ったら、また叩かれるな」という抑制が働かないのは、根本的に厚生労働問題に対する見識に乏しいからではないだろうか。
 もともと能力のある人なんだけどね。ただ、専門が財政・金融なのに厚生労働を担当させられたのがよくなかったわけで。いわゆる「雇用のミスマッチ」みたいな。

 まぁ、任免権者である安倍晋三に「人を見る目」がなかったとも言えるが…。

 ついでながら柳沢発言擁護と福島批判が個人的に問題だというのは「子どもを産むことが無条件で善である」かのような前提を持っているからだろう。
 この問題は雅子妃の問題ともある意味共通する。つまるところ「女性である以上、子どもを産むことが当然期待される」という暗黙の合意があるのではないか?
(逆に今回の反応を見ていると、世間は雅子妃にさらに子どもを産むことを暗に期待していたのではないか、と邪推してみたくなるのだが…)

 管理人は「子どもを産むな」なんて言う気はさらさらない。ただし、「子どもを産む」のも「子どもを産まない」のもどちらもその女性(またはそのカップル間)の選択であって、そこへ公権力が介入するのはおかしいと言うことだ。子どもを産むことは人から強制されることではない。出産・育児はその女性の幸福への必要条件だとは思うが、かといって十分条件であるとは言えないだろう。
 だから、そうした「子どもを産む」ことに関して政府の価値判断はフラット(=中立)でなければならない。
 もっとも、「2人以上子どもが産みたい」夫婦が多くいるのは厚生労働省の研究団体である国立社会保障・人口問題研究所の調査でも明らかだ。

【国立社会保障・人口問題研究所】
http://www.ipss.go.jp/

 ここでの結果を見れば、出生率が低い理由は経済的理由が半分以上を占めていることが分かる。産みたくても「産む環境」にないのだ。だとすれば、出産・育児をしやすくする「環境」をまず整えることが必要だろう。したがって、柳沢大臣は「女性に頑張ってもらう」といったが、それは出産する女性のことを考えていない。
 まずその前に柳沢大臣が「環境を整備するために頑張ってもらう」のが順序としては先だろう。