あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

立憲主義と正統性@国民投票法案衆院通過

 記事が読みたいヒトは↓に飛んでください。
国民投票法案>与党修正案、衆院通過へ【毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070413k0000e010032000c.html

 憲法改正のための国民投票法案が衆議院を通過した。
 前にも説明したとおり、日本は「二院制」を採る国なので、今後のスケジュールとしては、参議院特別委員会→参議院本会議という順序になる。

 どんな内容か気になるヒトは↓
Yahoo!みんなの政治【第166回国会 衆法 164回30号 日本国憲法の改正手続に関する法律案】
http://seiji.yahoo.co.jp/gian/0166016401030/index2.html


 この法律案の内容についての要約云々は面倒なので省き、管理人が考える問題点だけ挙げておく。
 あらかじめ言い訳するけれど、あまり精密に(文章も論点も)練ってません。ごめんなさい。

  1. 最低得票率の問題 
  2. 公示→投票日までの期間の問題
  3. マスメディアの問題


 ①は朝の情報番組とかでも取り上げているけれど、最低得票率の問題がある。
 50%の投票率で、51%の賛成で憲法改正がおこなわれると仮定する。そうすると、その得票率は、有権者全体の約25%にしかすぎない。
 国家の最高法規がたかだか25%の賛成で改正されるとすれば、その憲法憲法としての正統性を持ち得るのか?という疑問がある。裏を返せば、そうした「正統性を持ち得ない憲法」を基盤に法の支配というモノが成り立ちうるのか、ということが指摘できるだろう。


 ②は国会で憲法改正の発議→60~180日以内で国民投票をしなければならない、とあるが、それでは期間が短すぎないか?
 憲法は国家の最高法規であるので、改正内容についての理解や討論は一般国民レベルでも徹底して行われるべきである。それが衆議院選挙のように、短期的な政治的問題点を処理するために投票までが短期間しかないと、「その場の雰囲気」で理性的な判断がなされるとは言い難い。
 典型例は2005年にあった「郵政選挙」だろう。あのレベルで憲法が改正されるとすれば、立憲主義という枠組みはそもそも必要なくなる。
 立憲主義に基づく政治は国家の根本に関しては一時的な情念(雰囲気)によって変更ができないようにする「足かせ」としての役割があるのだから、改正にはアタマを冷やして考えるだけの充分な時間が必要である。
 管理人としては、公示→投票までは最低でも1年間は必要だと思う。


 ③もテレビで採り上げられているけれど、CMをどーするか、である。
 CMは莫大な資金が必要となる。莫大な資金を捻出できる経済界の利害と結びついた憲法改正案であれば、それは「カネのある方が有利」というコトになりかねない。
 政治と経済は非常に密接な関係だけれども、政治が経済の利害によって左右されるべきではない。政治・経済・軍の相互依存的な関係によって本来の政治が機能していない、というのはすでに1960年代にアイゼンハワー米大統領の離任演説で言及されたとおりである。
 CMに関しては禁止で良いのではないか。その代わり、政見放送みたいなものを流せば良いだろう。


 国民投票法案が不必要だ、とは言はないけれど、今回の与党案ではどーも、「立憲主義」と「正統性」に関する認識が甘いと言えるのではないだろうか。 

憲法とは何か (岩波新書)

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