あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

都響 第642回定期演奏会 Aシリーズ

会場:東京文化会館

指揮:ジェイムズ・デプリースト
ピアノ:スティーヴン・オズボーン


メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』 op.26
シューマン交響曲第2番ハ長調op.61
ブラームスピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.83


 はてさて、2007年度一発目の「定期演奏会」である。
 休日にやる「名曲コンサート」のたぐいとは異なり、定期演奏会はそれぞれのオーケストラが一番「勝負をかける」演奏会でもある。
 なぜなら、定期演奏会のほとんどが平日の夜に行われるし、そういった悪条件をものともせずコンサートホールに足を運ぶいわば「通な」音楽好き相手に演奏しなくちゃいけないから、気合いも入るというものだろう。

 メンデルスゾーンはあたかも我々がイメージする「イギリスの自然美」が立ち返ってくるような演奏。おそらくそういう景色なんだろうなぁ、と思わせる。その手腕はさすがにメンデルスゾーン。こういった陰影に富む曲はデプリーストは結構強い。

 つぎのシューマンは早めのテンポで押していく演奏。この曲は「しんねりむっつり」と演奏されると、作曲者と同じように精神がおかしくなりそうなので、個人的には演奏は疾走する感じで爽やかにドライブするとイイと思う。その点でいえば、今回はシューマンの錯乱した部分に過剰に肩入れすることなく、スッキリとした演奏でなかなかよかった。しかも、シューマンオーケストレーションを変更することなく、相応の効果を上げていたのはデプリーストの優れた手腕だと思う。
 ここでも前プロだからといって、「こぢんまり」と演奏することなくフル編成のオーケストラを存分に鳴らし、ダイナミクスを持たせた演奏をしていた。室内楽的に、あっさりとした響きもシューマンには新鮮だが、今回のように肉厚なシューマンを聴くとやはりロマン派なのだと再意識させるに充分。
 因みに第1楽章は珍しく、リピート敢行してた。

 ブラームスのピアノ協奏曲は朝比奈隆&園田高広以来の演奏。オズボーンのピアノが冴えていた。確かにバックハウスのような深みには欠けるものの、その鮮やかなピアニズムは、技巧を要するとされるこの曲のヴィルトゥオーゾ的な側面を浮き彫りにする。オケ部分の重厚さに対してピアノを鮮やかに弾くとそのコントラストがなかなか効果的だと思った。

 ただ、プログラムの問題として、好みの問題からすればブラームスのピアノ協奏曲を最後に持ってくるのはどうなんだろうか。確かに「ピアノ付き交響曲」なんて呼ばれるけれど、どうも第4楽章がそれまでに比べると今ひとつ盛り上がりに欠けるような気がするんだよな。既述した朝比奈隆&園田高広の場合でも、これは前プロで演奏されて、後半はブラームス交響曲第3番が演奏された。
 全体としては、前プロの方が盛り上がっていたような気がする。
 このへんは見識とか好みの違いってコトなんだろうけどね。

セルのベートーヴェンは面白くないけれど、シューマンは凄くイイ。ただし、この演奏はオリジナルではなくてセルによって改訂が加えられている。
しかし、その結果非常に爽やかな演奏に仕上がっていて素晴らしい。
シューマン:交響曲第2番

シューマン:交響曲第2番

コンヴィチュニーシューマンも良いけれど、廃盤で紹介できないのでアプローチは随分変わるけれど代わりにこっち。シューマンカンタービレがきびきびとしたテンポにのってよく表現されている演奏。音もそこまで悪くない。
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

定番中の定番。ベームバックハウスによる演奏。20世紀の名演とも言えるんじゃないかなぁ、とさえ管理人は思ったり。