会場:東京オペラシティ
指揮:ジェイムズ・デプリースト
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
今月は3回もコンサートに行ってしまった。
とはいえ、今回、都響&デプリーストによるマーラーの5番となればそれは聴かなくちゃいけないでしょう!それもオペラシティだしね。
チケットも完売でほぼ座席も埋まっていました。周囲の期待も高いということだろうな。
今回はどちらも「5番」な組み合わせなんですね。多分わざとなんだと思うけど(笑)。
さて、前プロのシューベルトから。
この曲は前プロにもってこいの規模の小さな曲。ただし、小さいながらも30分くらいかかる曲だし、何よりもシューベルトの音楽性がよく表れているイイ曲です。歌曲を得意としたシューベルトらしい、穏やかな、あたかも春を感じさせるような曲です。
演奏もピリオド奏法のようにならず、オーソドックスなアプローチ。編成も極端に小さくするような最近の流行からは全く無縁。管理人にとってはむしろ今回の方が好ましいです。
デプリーストの表現も、過度にだれるようなこともなく、スッキリとしたそれでいてモダン楽器の性能を充分に生かした演奏でした。
さて後半のマーラー。
都響とマーラーっていうのはもうある意味約束されたプログラムとも言えるかもしれません。
古くは渡邉暁雄から始まり、インバル、若杉、ベルティーニと何度もマーラー・チクルスを敢行しているオケは都響くらいなものでしょう。それだけに楽団員のマーラーにたいする理解度も高く、非常に燃焼度の高い演奏を毎回してくれます。
今回、マーラーの5番も一昨年、所沢で若杉の指揮で聴いて以来、約2年ぶり。前回も非常に完成度の高い演奏でしたが、今回はそれ以上の演奏だったかも。
全体的に、バーンスタインのようにマーラーと一心同体してしまうような演奏ではなく、かといってベルティーニのように客観的に演奏していくようなタイプでもなく、どちらかといえばCDで聴くバルビローリのような演奏(ただし、もっと穏当な感じ)。
だから逆に言えばマーラーの精神分裂的な面というのが後退してしまって、結構健康的なマーラーになっている。このへんは、錯綜するマーラーが好きな人には物足りないかもしれないが(事実第2、第3楽章はもう少しデモーニッシュな要素が欲しかった)、そこまでマーラーに入れ込まないヒトにはよかったのではと思う。
今回特筆すべきは弦の美しさもさることながら(非常にアンサンブルが整っていて、これこそ都響!と思わせる。)、ホルンとトランペット、並びにクラリネットを始めとする木管群の活躍が素晴らしかった。ミスも殆どなく、きれいな音色を聴かせてくれた。
あ、でもやっぱり弦について書くと(笑い)、やっぱり第4楽章のアダージョはホントに天国的な美しさ。ここではテンポをやや落とし、透明感ある弦の音をまさに「紡ぎ出して」いた。
全般的に練習の行き届いた演奏だったので、第5楽章は圧巻。曲が曲だけに非常に高揚していて、よくできた演奏になった。
2007年度始まったばかりだというのに大満足でとにかく嬉しい誤算である。
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実演の方がもっと爆発してると思うんだけど、どーだろうか。