あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京都交響楽団 第643回定期演奏会 Bシリーズ

会場:東京オペラシティ

指揮:ジェイムズ・デプリースト


シューベルト交響曲第5番変ロ長調 D.485
マーラー交響曲第5番嬰ハ短調


 今月は3回もコンサートに行ってしまった。
 とはいえ、今回、都響&デプリーストによるマーラーの5番となればそれは聴かなくちゃいけないでしょう!それもオペラシティだしね。
 チケットも完売でほぼ座席も埋まっていました。周囲の期待も高いということだろうな。
 今回はどちらも「5番」な組み合わせなんですね。多分わざとなんだと思うけど(笑)。

 さて、前プロのシューベルトから。
 この曲は前プロにもってこいの規模の小さな曲。ただし、小さいながらも30分くらいかかる曲だし、何よりもシューベルトの音楽性がよく表れているイイ曲です。歌曲を得意としたシューベルトらしい、穏やかな、あたかも春を感じさせるような曲です。
 演奏もピリオド奏法のようにならず、オーソドックスなアプローチ。編成も極端に小さくするような最近の流行からは全く無縁。管理人にとってはむしろ今回の方が好ましいです。
 デプリーストの表現も、過度にだれるようなこともなく、スッキリとしたそれでいてモダン楽器の性能を充分に生かした演奏でした。


 さて後半のマーラー
 
 都響マーラーっていうのはもうある意味約束されたプログラムとも言えるかもしれません。
 古くは渡邉暁雄から始まり、インバル、若杉、ベルティーニと何度もマーラー・チクルスを敢行しているオケは都響くらいなものでしょう。それだけに楽団員のマーラーにたいする理解度も高く、非常に燃焼度の高い演奏を毎回してくれます。
 今回、マーラーの5番も一昨年、所沢で若杉の指揮で聴いて以来、約2年ぶり。前回も非常に完成度の高い演奏でしたが、今回はそれ以上の演奏だったかも。
 全体的に、バーンスタインのようにマーラーと一心同体してしまうような演奏ではなく、かといってベルティーニのように客観的に演奏していくようなタイプでもなく、どちらかといえばCDで聴くバルビローリのような演奏(ただし、もっと穏当な感じ)。

 だから逆に言えばマーラーの精神分裂的な面というのが後退してしまって、結構健康的なマーラーになっている。このへんは、錯綜するマーラーが好きな人には物足りないかもしれないが(事実第2、第3楽章はもう少しデモーニッシュな要素が欲しかった)、そこまでマーラーに入れ込まないヒトにはよかったのではと思う。

 今回特筆すべきは弦の美しさもさることながら(非常にアンサンブルが整っていて、これこそ都響!と思わせる。)、ホルンとトランペット、並びにクラリネットを始めとする木管群の活躍が素晴らしかった。ミスも殆どなく、きれいな音色を聴かせてくれた。 

 あ、でもやっぱり弦について書くと(笑い)、やっぱり第4楽章のアダージョはホントに天国的な美しさ。ここではテンポをやや落とし、透明感ある弦の音をまさに「紡ぎ出して」いた。
 全般的に練習の行き届いた演奏だったので、第5楽章は圧巻。曲が曲だけに非常に高揚していて、よくできた演奏になった。
 2007年度始まったばかりだというのに大満足でとにかく嬉しい誤算である。

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」

オーソドックスな名演といえばやっぱりワルター。19世紀的な伝統に立った上で、この曲の古典的な美しさを表現した名演。革新的演奏といえばインマゼール。響きが違う!と最初聴いたときに思わずビックリした記憶がある(笑)。マーラー使徒であるバーンスタインの演奏はやっぱりトップにあげなくちゃいけないと思う。ワルター盤の音が古いためにbest of bestな演奏。
マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

バーンスタインとはアプローチは違うけれど、やっぱりテンシュテットマーラーへの深い共感が表れた演奏を繰り広げる。日本ライヴの方が個性的だけれど、何度も聴くならこっち。
マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

後期ロマン派のマーラーはこういうもんだ!っていう演奏。バルビローリのマーラーも非常にロマン濃厚でオンリーワン的名演。現役指揮者ではやっぱりコバケン。これはコバケンにしては抑制が利いていると思うのだけど、繰り返しなら確かにイイ。
実演の方がもっと爆発してると思うんだけど、どーだろうか。