あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

当たり前すぎて気付かない@『ビゴーが見た明治ニッポン』

ビゴーが見た明治ニッポン (講談社学術文庫)

ビゴーが見た明治ニッポン (講談社学術文庫)

 日本史の教科書や資料集でお馴染みの風刺画を描いた、ビゴーの作品を解説付きで採り上げた本。
 江戸時代に日本にやってきたオランダ人・シーボルト(ホントはドイツ人なんだけど)は当時の日本で使われていた生活用品を収集し、それが逆輸入される形で、当時の日本の風俗を知る手がかりになっているのと同じようなことが、ビゴーについても当てはまる。

 つまり、明治初期の日本人自身にとっては珍しくも何ともない日常生活が、フランス人であるビゴーから見れば、非常に新鮮であり、かつ興味を持つモノであった、ということが言えるのである。だから、そうした「明治ニッポンの風俗」をビゴーは画にするわけなのだが、そうして今日残された多くの画は、現代の日本人が当時の日本の風俗を知る上で非常に知的好奇心を誘うのである。

 例えば、一家全員で風呂に入る様子や、レストランで食事をする様子や列車に乗る庶民の日常などが描かれる。そこから感じられるのは、当時の人びとの生活の息遣いだ。

 日本史に関して全く素人であれば、本書でなされる解説はやや難解であるかもしれないが、高校で日本史を学習したのであれば、そこに書かれた解説も充分理解できるし、仮に日本史に疎くても、ビゴーによって描かれた明治ニッポンの姿を目で確かめるのも充分楽しいと思われる。

オススメ度→★★★★★