あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

第646回定期演奏会 Aシリーズ

会場:東京文化会館

指揮:ベルンハルト・クレー
チェロ:ダニエル・ミュラー=ショット


ヘンツェ:室内協奏曲05(日本初演
シューマン:チェロ協奏曲イ短調op.129
ベートーヴェン交響曲第7番イ長調op.92

 定期公演はまだあるモノの、7月、8月は定期演奏会がお休みなので、実質3ヶ月は夜のコンサートを聴かない可能性があります。来月の昼のコンサートはチケット買ったんで、まー、オーケストラ自体を聴かないわけではないんですが…。

 ヘンツェは確かに現代音楽。15人編成ながら、なかなかダイナミックな音楽である。もともと交響曲だったのを室内協奏曲へと改訂したらしい。3楽章構成。
 ただし、第3楽章以外、あまり面白くなかった。
 やっぱり、現代音楽って難しいな。なんだか斬新な取り組みをしようとすると失敗する感じである。だから、むしろ古典的なスタイルを維持しているブリテンショスタコーヴィチの方が遙かに聴いていて面白い。
 音楽自体が人間よりも先に行ってもダメだと思う。まー、そうした挑戦をしないと進化はないのかもしれないけど、ただし、今回のような音楽を聴いていると「進化」なのか非常に怪しい(苦笑)。
 進化/退化という問いかけ自体がモダン的であるともいえるんだけどね。

 シューマンは、なかなかの好演。
 ソリストのショットはまだ30代の若手だが、非常に落ち着いた演奏をする。勝手なイメージとして、ロストロポーヴィチよりもフルニエに近い。きっと年取ったら、そっち系になる(笑)なんて思いながら聴いていました。
 とは言いながら、まだ若いから、時に大胆なボウイングをするんですが。
 オケの解釈自体も、ロマン派全快にこねくり回すような演奏はしなくて、わりと端正に演奏していた。もっと野太いロマン性が出ていても管理人は全然構いませんが、こー言うアプローチをかけて上手くいっているのだから、イイと思う。

 さて、後半のベートーヴェン交響曲第7番。
 この曲、2月にも「作曲家の肖像シリーズ」で採り上げたばかりの曲。
 シューマンからそうだったんですが、今回、ドイツ式の両翼配置。つまり、第一ヴァイオリンが左に、第二ヴァイオリンが右側に。中央右にヴィオラが、中央左にチェロが、その後ろにコンバスが…といった並びでした。
 ベートーヴェンに限らず、当時の作曲家たちは、この両翼配置をイメージして作曲しているので、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンがまるで会話するように、「ステレオ的に」曲が進行していきます。スコア見ると確かにそうなんだなー、と思いますが、やっぱり生で聴くと、その動きがよく見えるからなおさらイイですね。

 演奏自体も、テンポ的なダイナミズムに欠けるところはあったですが非常に端正。非常に「ドイツ正統派」な演奏をしてます。メンゲルベルクを穏当にした感じ、といえば適当なのかな。ともあれ、最近流行の、即物的な演奏とは反対の、ドイツ・オーストリア圏のロマン性が薫ってくるような演奏。
 しかし、よく練られているから、非常に聴き応えがあり、かつ、指揮者の意志がオケにちゃんと反映されている、コントロールできていました。
 文化会館だからちょっと音が散漫してしまったところはありますが、絶対オペラシティだったら感動すると思われる演奏。それでも充分聴き応えがあって、非常に水準の高い演奏でした。ついでながら、全ての楽章でリピート敢行したので結構しっかりとした7番を聴いたな、という感じ。

 ちなみに、僕の前に座っていたおばさん、第一楽章の提示部(63小節)からは4/4拍子ではなくて6/8です。指で拍をとってましたが、違いますんでご注意を!

ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番

ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番

スマートでいながらリズム感溢れるこの曲を最高に演奏してみせたクライバー盤。
ベートーヴェン:交響曲第1番&第7番

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クライバーとは正反対のアプローチによるクレンペラー盤。終楽章が呆れるほど凄い。
ベートーヴェン 交響曲全集

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楽譜を信じて、一音とも揺るがせにしない朝比奈盤。沢山ある録音のなかでもこれが一番。分厚い響きによる男性的なベートーヴェン