都響「作曲家の肖像」Vol.65 <ドヴォルジャーク>
会場:東京芸術劇場
指揮:レオシュ・スワロフスキー
ヴァイオリン:エリック・シューマン
弦楽セレナード ホ長調op.22
ヴァイオリン協奏曲イ短調op.53
交響曲第7番ニ短調op.70
今月聴くオーケストラはこれだけ。
相変わらずの都響なんですが…。雨にもかかわらず一生懸命行ってきた。でも池袋は台風接近にもかかわらず、デパート内は混んでた。さすが「駅ブクロ」の異名がありますねぇ。
ドヴォルジャーク(←チェコ語の発音らしい)のヴァイオリン協奏曲と交響曲7番というのは結構レアな組み合わせ。だからかどうか、分からないけれど、開場には若干残席があった様子。
でも結論からいくと、今回は収穫である。
ドヴォルジャークの弦セレ。
非常に中庸な、オーソドックスな演奏。スワロフスキーはドヴォルジャークと同じくチェコ出身の指揮者であり、長年チェコ・フィルの率いていたノイマンに師事していたこともあるらしい。そのあたりが演奏に影響しているのか、手堅い演奏なワケです。
ノイマンも細かくテンポを動かすとか、過剰に味付けするようなことをしない演奏をしていたけれど、スワロフスキーもそうした方向と同じです。とはいえ、やはり「お国もの」であるドヴォルジャーク。極めて説得力のある演奏をしていました。
弦楽セレナード、ということで、弦5部による演奏だけれど、さすが都響。非常に弦が明るく、それでいて叙情的な表現をみせます。
チェロ協奏曲ほどメジャーじゃないけれど、なかなかイイ曲です。まぁ、第2楽章がやや単調なところもあるんだけれど、フィナーレは非常に技巧も凝らされているし、なかなか華やかな曲です。
ヴァイオリン・ソロのエリック・シューマンは1982年生まれのハーフだという。
個人的な感想だけれど、「秀才型」なヴァイオリニストだと思った。特段スケールが大きいわけでもなく、激しいパッションがあるわけではないのだけれど、それとは反対に端正に、かつ知的にひいていた。あー、なんか表現が難しいのですが、つまりは小器用にまとまっている、とでもいうのかな。それと共に、第3楽章の技巧を要する部分でもしっかりと弾いていた。
休憩後のドヴォルジャークの第7番。
第8番や第9番「新世界より」と違って、第7番はそこまでメジャーじゃなく、かつ第1番〜第6番のようにまず演奏されない曲とも言えない、いわば「穴場」的な曲。
ハッキリ言えば、今日一番の聴き所はこの第7番だったといえる。もう、スワロフスキーが完全にこの曲を自分のモノとしている。オーケストラの隅々にまで自分の意思が伝わっているような印象すら受けた。
やはり圧巻は終楽章。ノイマンほど老練してないので(まだ40代)、やはり盛り上がるときは力ずくのようなところがある。それでも第6番という曲の曲想上、そういう盛り上がり方がちっとも不自然ではなく、チェコの土俗的な感じと相俟って、非常に感動的だった。
これを聴くと、7番はもっと聴かれてしかるべし!!と思わせるに充分。
大満足な演奏会だった。めでたしめでたし。
追記ながら、アンコールは「チェコ組曲」よりポルカ。これも弦の美しさが存分に発揮された好演。
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ちょっとノイマンは個人的には中庸すぎるのでこれくらいの情熱が欲しかったり。
とはいえ、チェコ系統の指揮者でもうちょっと聴いてみたいです。宇野功芳に貶されようと(笑)VN協奏曲はミルシテインがイイかと。