あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

参院選の注目@自民党と支持基盤


 いやぁ…。参院選が近づいてきましたねぇ。
 政治学専攻の管理人としては、かなり気になる参議院選挙ではあります。
 政治学的に注目なのが、「自民党支持層に変化は見られるのか?」ということ。

 だけど、その前に…。

  1. 自民党は「名望家政党」としての名残がある。つまり、地方に帰ると「地元の実力者」ってこと。
  2. 自民党は結党(1955年)以来、農林水産業や自営業を中心に支持基盤を築いてきた。

 つまりは自民党は地方・農村中心の政党ってコトになる。

 そうやって1955年以降自民党は政権を担ってきたわけだが、その間に日本の社会自体が変化してきた。
 それこそ戦後は6割以上占めた農業就業者は→工業→サービス業(商業)と産業が発達するに従って、低下し、現在では1割を切っている。(産業構造の転換)

 産業構造の転換によって自民党が従来から支持基盤にしてきた農村が「先細り」している、という現状があるのだ。自民党は1970年代以降、選挙での得票率が一貫して長期低落傾向にある。(社会党はそれ以上に酷いのだが…)

 そこで出てきたのが小泉純一郎だ。

 小泉の鋭い点は、「先細りしている農村」に見切りをつけ「増え続ける都市」の住民をターゲットに政策を推進してきたところだ。分かりやすく言えば、「新たな顧客獲得」みたいな話である。
 小泉は都市有権者の支持を集めるため「自民党をぶっ壊す」とか「改革なくして成長なし」とか「郵政民営化」を叫んだわけである。

 これらのスローガンは基本的に伝統的に自民党を支持してきた地方(農村)の住民にとってはマイナスの政策である(マクロ経済政策的にみて)。しかし、都市の住民にとってはプラスの政策である。
 繰り返しになるが、これらの政策を推進することで、都市有権者の支持を取り付け、新たに自民党支持層とすることによって「自民党の支持構造の転換」をおこなおうとしたのである(ただし、まだ転換途中なのだが…)。

 しかし、その後を継いだ安倍晋三はこのことを理解していなかった。

 安倍になってからの「再チャレンジ政策」や「美しい国づくり」の方向は、都市有権者の琴線にあまり触れない政策である。さらに、度重なる「失言」や「政治とカネ」の問題は小泉時代とはうってかわって「旧態依然たる自民党」のイメージを都市有権者に与えてしまった。
 肝心の都市有権者の支持を安倍は得ていないのである。

 小泉政権の末期から、民主党小沢一郎は「小泉に切り捨てられた地方」を取り込む方向で選挙活動を進めている。ここに自民党はジレンマに陥るのである。
 それは次のようなことだ。
 小泉政権時代に地方を切り捨て&都市の取り込みを図っていたのに、都市部を中心に安倍の支持が下がっていると、地方も都市の両方で自民党の支持層が存在しなくなるのではないか?ということだ。

 都市からは「小泉改革が後退して、昔の自民党に戻りつつある」と支持を減らし、農村からは「自民党は私たちを切り捨てた」と支持を減らす。
 結局、「二兎追う者は一兎も得ず」状態になるのではないかないだろうか?というのが管理人の関心である。

 その答えは7月29日に明らかになるんだろうな。



日本リサーチ総合研究所
http://www.research-soken.or.jp/reports/digit_arch/population03.html

戦後政治史 新版 (岩波新書)

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自民党と戦後―政権党の50年

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他のサイトでも、同じようなコトをお書きになっているところが多いところを見ると、この種の見方に対する関心って結構高いんだろうなぁ…。