あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

第650回定期演奏会 Aシリーズ

10月22日 19:00開演 会場:東京文化会館

指揮:金聖響
ヴィオラ:鈴木学
チェロ:アルト・ノラス


R.シュトラウス:歌劇『サロメ』より〈7つのヴェールの踊り〉
R.シュトラウスメタモルフォーゼン TrV 290
R.シュトラウス交響詩ドン・キホーテ』op.35


 リヒャルト・シュトラウスは1864-1949まで生きた、後期ロマン派を代表する作曲家。
 クラシックというと、相当昔のモノというイメージがあるけれど、今回演奏されたメタモルフォーゼン(変容)は1945年の作品。あんまりイメージ湧かないかもしれないけれど、第二次世界大戦の最中、実はこういう曲が作られていた、という話でもある。(どんな話だ、とかいわれそうだけれど)

 さて、今回のすべてR.シュトラウスによるプログラム。定期演奏会でなければなかなか実現できない構成だろう。
 一般的にR.シュトラウスの曲ではオケの編制がでかくなるのでなかなかしょっちゅう聴けるモノではない。舞台上に並ぶ楽器群を見るだけで非常に壮麗な印象を受けてしまう、そういう曲でもある。

 簡単に言えば、金聖響の「若さ」(指揮者でまだ40歳に届かないのは若い)によって特徴付けられる演奏だった。
 それはサロメドン・キホーテでは非常にプラスに作用していると言える。R.シュトラウスの一面での仰々しさが華やかさに変わり、非常に溌剌とした健康的な演奏に仕上がっていた。金聖響の指揮に大編成のオケも非常によく応え、聴き応えのある演奏であったと思う。
 一方、晩年の作品群であるメタモルフォーゼンは華々しく活躍したR.シュトラウスが辿り着いた最後の境地のような、まさに「白鳥の歌」のような曲なので、ちょっとエネルギッシュすぎたような印象を受けた。
 ただ、そこで「枯淡」な演奏をするにはまだまだ指揮者としてのキャリアも、人生のキャリアも足りてない。だけど、それは無い物ねだりなのだろう。反対に、「最後の」後期ロマン派の作曲家R.シュトラウスと、かの「第三帝国」の崩壊という歴史的文脈の中で成立したこの曲の、ある意味芝居がかった悲劇性、という観点から見れば非常に上手く描出しているとも言える。(管理人の好みから言えば枯淡な方が好きなんだけど)
 存分に都響メンバーの弦の美しさを聴きながら、しっかりとした構成感に拍手。

 それにしてもR.シュトラウスは老境に入っても創作意欲が衰えない珍しい作曲家だなぁ…と思うことしきり。そして、壮年期の「英雄の生涯」とかの壮麗さと対比される、晩年の「メタモルフォーゼン」とか「4つの最後の歌」とかオーボエ協奏曲とか、作品を通じて作曲家の人生が本当に良く分かる、そういう人物もなかなか面白い。

 さて、次回はデプリーストによるシベリウスの2番である。

なにより録音がすごくイイ。さすがオクタヴィア。
マイスキーのチェロも良好。