都響×のだめカンタービレ シンフォニック・コンサート 2nd STAGE
11月11日 14:00開演(会場:東京芸術劇場)
指揮:ジェイムズ・デプリースト
オーボエ:広田智之
司会:朝岡聡
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調
「のだめカンタービレ」の登場人物の中で、唯一実名で登場する、ジェイムズ・デプリースト指揮による、ゆかりの曲を演奏するコンサート、第二弾。
てなもんで、1st stageに続いて2nd stageも行って来ました。
チケットは完売。人気があって良いことです。
会場にはいつもよりも確かに「若年層」が多かった。孫連れのご婦人とかいたし。普段じゃ絶対見ない光景だ。
ただ、老夫婦とか、オッサンとか(まだ自分はオッサンじゃないつもりだけど)、原作やドラマの「のだめ」とは接点ないんじゃないか?ってヒトもそこそこ見かけたのも事実。
分析するに、
- クラシックファン且つ「のだめ」ファン
- 「のだめ」ファン
- クラシックファン
この三種類に分類できたと思う。一番多かったのは「1」のヒトたち。管理人もたぶんここに含まれるハズ。
今回は完璧初心者はいなくて、拍手するタイミングとか、ちゃんと出来ていたので良かった。
司会の朝岡氏から、指揮者のデプさんに対していくつか質問があった。
ところどころ聞き取れたけど、まだまだ完全には分からないなぁ。まー、それはともかく、なかなか興味深い話だった。
曰く「指揮者には指揮法=テクニックと、音楽に対する理解=音楽性、この両方が求められる」とか「モーツァルトは演奏の型があり、シベリウスには高度な演奏テクニックがあって、それはどちらも難しい」とか。
おそらくデプさんが言う「モーツァルトの型」っていうのは古典派に特徴的なソナタ形式が持つ、構造的な美しさとモーツァルトに特有のアレグロ感を維持したまま、いかに表現していくか、というところなのだと思う。
さて、モーツァルトのオーボエ協奏曲は都響首席オーボエ奏者の広田氏による、誠実なモーツァルト。
もともとデプリーストが奇を衒った演奏をするタイプではなく、大らかに、そして健康的にオケを鳴らす。そこへ、これまた正統派なオーボエであった。
オーボエというと、例えば新日フィルの古部氏のような華やかなイメージがあるんだけれど、広田氏はトークの洒脱さに対して、演奏そのものは非常に丁寧でそして繊細なオーボエを聴かせるヒトであった。地味目なんだけど、いぶし銀って感じでもないんだよね。
誠実な演奏っていうんでしょうか。
後半のシベリウスはオケを充分に鳴らす、いつものデプリースト流。
管理人が一回の前よりの席に座っていたこともあって、非常に弦の刻みが強い印象だった。特にコンバスの鳴らし方が非常に効果的。
シベリウスの交響曲第2番はシベリウスの曲の中では大衆的だけれど、実はこの曲にもフィンランドの自然の厳しさや人間精神の強さみたいなものがこめられている。とりわけ第2楽章でそれは顕著に表れる(たとえば渡邉暁雄の演奏)。
けれど、デプリーストはそうした厳しさをテンポの収斂という表現ではなく、むしろダイナミクスの変化によって表現しようとする。だから、このあたりは今ひとつ、この曲の持つ「厳しさ」に欠ける面が第2楽章ではあったと思う。そのかわり、スケールは大きくなっている。
第3楽章から終楽章までは圧巻。
むやみにテンポを上げず、ダイナミクスで内的テンションを終楽章にまで高めていくことによって、終楽章の提示部(っていうの?―弦楽器によるユニゾンの箇所―)が非常に感動的だった。特に都響弦パートの力もあってここはホントに「聴き所」である。
特に、この箇所では通常インテンポなのだけれど、テンポを落として弦を大きく弾かせてユニゾンさせることにより、さらなる高揚感をもたらしている。(これはなかなかユニークな解釈だと思う)
それはさながら厳しさから解放された、大いなる自然の賛歌であり、また人間性の肯定であるかのような印象を受けた。
その内的テンションの高まりはいよいよクライマックスに向けて高まるわけだ。
ここでデプリーストはテンポを遅めに取り、存分に鳴らして、一歩一歩大地を踏みしめるかのようにオケをリードする。さらにそこで大きく両手を広げまさにオケは全開。
去年定期演奏会で聞いたとき(指揮者はスウェンセン)よりもケタ違いの感動だった。
っていうか、定期より良い演奏するってどうよ?っていう不満はあるんだけど。
こうした演奏を聴くと、シベリウスの2番って通俗的な曲ではなく、ちゃんと内容を伴った名曲だと思わせるな。
さて、次回は再来週の都響定期演奏会。
デプリースト節全開となるか?
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ただ、そのおかげで、終楽章のスケールは非常に大きい。