あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

空白の良し悪し

 このところ新聞やニュースを見ていると日銀総裁が未だに決まらないことを報じている。それと暫定税率の維持or廃止で国会は与野党が対立している。
 ただ、当事者である政治家やこの報道に対してコメントする評論家は今回の事態が異常であるといっている。ただ、この状態が正常なのか異常なのか、という観点で見れば確かに常態ではないという限り異常には違いないけれども、それが良いか悪いかは案外単純に評価できない問題なのではないだろうか。

 日銀総裁は確かに現時点で空席である。ただ、日銀業務にどの程度の支障を来しているかについては報道されていない。もっとも、何かあったときの「副」総裁なんだから、副総裁が代行をしていてそれでやっていけてしまうのであれば問題ないと言えば問題ないだろう。
 空席が問題だとするならば、その席に誰かしらが収まっていれば何でも良い、とも言えてしまう。個人的にはトンデモな人物が収まるくらいなら空席で構わないとも思うんだけど。(金融政策にトンデモな人物は来ないだろうから、誰かしら収まった方が良いんだろうけどね。)
 だからうっかりトンデモな人物が然るべき立場に収まってしまう事態よりもよほど良いんじゃないかと思ったりするのだ。トンデモな人物が相応の地位に就くとその後が大変である。僕らは去年の安倍晋三が総理大臣になったとき大変だった。ヒトによっては石原慎太郎都知事になることも、田中康夫が県知事になることも大変だったというヒトがいてもおかしくない。
 つまり総裁空席で問題になるとすれば、そのことによって職務に滞りが発生するという事態だと思われる。物騒な物言いになるけれど、北朝鮮なんて国家主席を廃止して10年くらいになるけどちゃんと(?)国家運営されているようだし。

 ところで福田康夫の総理大臣としてのリーダーシップの不在を指摘する評論家が多いけれど、どーなんだろうか。本来、協調型リーダーシップのタイプに属すると思われていた福田康夫ならば今回のように衆参ねじれ国会の状況ではその能力を遺憾なく発揮できるはずである。
 けれど、実際は与野党間で日銀総裁人事や暫定税率問題で激しく与野党対立をしている。だとすると、実のところこの問題はリーダーシップの不在以上の別の側面があるのではないか。
 「真空総理」と呼ばれた小渕恵三はなかなかしたたかだったと今にして思う。なぜいきなり小渕なんだと言えばそれまでなんだけど。橋本内閣下で行われた参議院選挙の大敗後、野党に参議院での多数を握られながら、その「真空」と「気配り」ぶりで後継総理大臣に就任した小渕。明確なビジョンを持たず、強力なリーダーシップを持っていなかった(かのように見えた)小渕であったが、自由党公明党の要求を「丸呑み」する形でやがては通信傍受法や国旗国歌法の制定など重要法案成立を成し遂げている。ここに協調型リーダーシップの真骨頂があるといえば言い過ぎだろうか。
 そうして考えてみると、端からは見えていないだけで、福田康夫は実のところ非常に明確なビジョンを「本人の中だけに」持っていて、実は安倍晋三同様に理念に対する比重が大きいために国会における対立を招いているのかもしれない。
 (ここまで書いてながらホントかよ、とか自分で思ったりしなくもない)