ポニョはさかなの子
とは言っても、さかなクンじゃありませんよ。ええ。
日中仕事しつつ、本読みつつ。あー、ホッブズのリヴァイアサンをようやく読んだ。しかしまだ第一分冊。途中の自然状態のところからペースが落ちる。同時並行で、『世界』(岩波書店)とか相変わらずマンガ読んでたし。
結論から言えば、2年後くらいにはテレビアニメ化されるけど、この作品は映画館で見ると楽しい。
というのも、アニメーションによる動画と、フルオーケストラによるサウンドを味わうためにはテレビというハコでは小さすぎるから。
たぶん、ストーリーで言えば、「もののけ」や「ハウル」の方が大人向き。それに比べるとポニョはシンプル。そして、アンデルセンの『人魚姫』ベースにしていることもあって童話っぽい。ただ、人魚姫は童話なのに(童話ゆえに?)悲しい結末になるけど、ポニョはその点がとても肯定的。映画を見終わった後に、「よかったね」と子どもが言いそうな、そんな心温まる話に仕上がっている。正直なところ、人魚姫よりも、ポニョのラストの方が好きだし。
以下細かな話。
CGやめて、手書きに戻った、ということもあって、ハウルのような画としての異常な完成度はなりを潜めている。そのかわり、手書きにこだわった温もりというのは、ナウシカやトトロを観たときのように感じられる。さらに、宮崎自身が語るように、「アニメーション」の原点として、つまり「画が動くモノがアニメである」ということにこだわった映画だろうと思う。
それはポニョの世界が海を舞台にしていることからもシンボリックにあらわされる。動きのあるアニメとして、キャラクターが自由自在に動き回る海中というのはまさにうってつけであるし、波というのもアニメのダイナミズムを生むひとつの対象だろう。
あと、ラヴェルやワーグナーを思い起こすような久石譲の作曲も大したものだ。今回、宮崎作品で初めて声楽(栗友会合唱団)が加わっていて、その音楽はドビュッシーの夜想曲を聴いているときのような神秘的な空間を惹起させる。
もちろん、宮崎作品の代名詞みたいになった「お婆さん」とか「食べ物へのこだわり」とか「乗り物」とかは健在である。とくに今回もデイサービスセンターで介護を受ける「お婆さん」たちが一つのカギになるとは思うけど、そこは各自が判断すればいいと思う。
あと、ヴェルヌ『海底二万里』のキャラクターがモチーフになっているとか(10年くらい前に読んだけど細かないとこが覚えてないな。読書感想文まで書いたのに…)、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』からも名前が採られたりと、いろいろあり、そのへんを注意しながら観ていくのも面白いかも。
映画ってタグ作った方が良いな、こりゃ。