あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

都響 第670回定期演奏会 

会場:東京文化会館

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 『皇帝』 op.73
マーラー交響曲第1番 ニ長調『巨人』

指揮:ハンヌ・リントゥ
ピアノ:中村紘子

 10月は文化会館側の手違いで定期が流れたので都響の定演自体は2ヶ月ぶり。都響定期としては珍しげな名曲プログラムだった。
 中村紘子との皇帝は、肉厚な演奏。中村の演奏を聴いていると、良い意味で周囲の耳目を集めるピアニストなのだなとは思う。日本人ピアニストとと言うことを考えると個性的な方に分類されるのではないか。逆にいえば、中村のような演奏をするからこそ、メジャーレーベルからのCDリリースが可能であったのだろうとも思わせられる。
 もっとも、その演奏が好きか嫌いかというのは全くの別問題だけどね。

 個人的には中村の演奏って左手の和声処理にクセがあると思う。なんかテンポルバートをかけているかのようなタイミングのズレを感じるんだよな。それで、思い切り景気よくピアノを弾いてくれるから、ところによって象が大地を踏みしめるかのようなインパクトを与える(どんな感じだ)。
 中村の演奏姿を見ながら不覚にも豪快に笑う近所のおばさんを思い出してしまった。なんていうのかな、演奏にデリカシーが足りないような印象を受けてしまった。とはいえ、皇帝だからこうした演奏でも充分ありなのかも。

 マーラーの巨人は外連味溢れる演奏。
 テンポの伸縮著しい。伸縮と言うより、遅いところと普通のテンポのところに分かれる。しかも遅い割には、弦のカンタービレがないからブツブツと音が途切れてしまい、音楽の流れが止まることこの上ない。都響スタッフはリントゥに都響の売りは弦セクションの美しさと、文化会館はデットな響きのホールです、と伝えておかなかったのか?とすら思えてしまう。
 ブツブツと弦が途切れても残響が長ければしのげるのだろうが、残念ながら文化会館のホールでは間抜けなことこの上ないマーラーになってしまって、音楽の流れに安心して身を委ねるということがなかったのは残念。都響と文化会館の巨人では、デプリーストの演奏は実に感動的だった。どうも比べちゃいけないと思うが、くらべちゃうと、格段に今回の演奏は落ちるな。というよりもマーラー演奏に長けている都響としては燃焼度の低い演奏だった。
 終楽章コーダは、むりやり力業で盛り上げたけど…ねぇ。