あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

新アラビア夜話

新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫)

新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫)

 去年読んだ『宝島』に続いてスティーヴンスンの短編小説集から。
 ちょうどコレを他の本と併行して読んでいて、読み終えたので感想。

 ってか、12月〜1月にかけて、硬軟併せると20冊くらいは読めたんだけど、全然感想かけてない。インプットばかりでアウトプットがないっていうのは、自分のアタマの中に定着を図る上でもマイナスだろうなぁ…と思ったりする。

 大雑把に言うと、19世紀のロンドンやパリで起こった猟奇的な事件を、ボヘミアのフロリゼル王子が解決する、というようなお話。
 ボヘミアっていうのは今で言うところのチェコにあたります。

 だから、週末に見た「冬物語」でボヘミアの王子フロリゼルが登場したときには「まさか?」と思ってしまった。
 そのまさかであって、作者のスティーヴンスンはシェイクスピアの『冬物語』に登場する「フロリゼル王子」を『新アラビア夜話』の主人公の名前に使ったらしい。管理人の中では非常にタイミングがよくて、そのことに驚いてしまった(笑い)。

 そーいう経緯もあって、実のところ、観劇しながらこっちのフロリゼル王子とダブって見えることもある。

 新アラビア夜話とは言いながら、「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」のように中東の世界での話ではない。19世紀のパリやロンドンで起こった猟奇的な事件とそれを解決するフロリゼル王子のサスペンスでもありアドベンチャーでもある。
 どうでもいいけど、本家の「アラビアンナイト」の方は岩波文庫で全13巻らしい。果たしていつになったら読めるのやら…。棺桶に入れてもらうようだな…。

 『宝島』同様に人間の欲望へスポットライトが当たっていて、それがこの話をサスペンスモノへとしている。だからフロリゼル王子の活躍といっても、シャーロック・ホームズのような感じさえしてしまうのだ。ただ、そうした人間の欲望に対して、王太子であるフロリゼルがいるから、非常に対比的である。

 このフロリゼルの人間的によくできてる具合が、アルスラーン(←田中芳樹アルスラーン戦記』)っぽいな、なんて思ってしまうあたりが管理人らしいといえばらしいのかも(苦笑)。

 そんなこんなでサクサク読める話だけど、最後の結末も、なかなか、確かに『新アラビア夜話』に充分だと思う。