よその国はどのくらい?
社民党は16日、衆院選マニフェスト(政権公約)の概要を発表した。キャッチフレーズは「生活再建」。民主党との連立政権を視野に、衆院選後の連立協議入りも掲げた。正式なマニフェストは衆院解散後に発表する。
基本政策は(1)雇用と社会保障の再建(2)内需中心経済への転換(3)金持ち優遇税制の是正(4)戦争放棄など憲法理念実現−−の4テーマ。
民主党との連立協議で焦点となる外交・防衛分野では▽自衛隊を専守防衛に徹した必要最小限の組織に縮小▽在日米軍基地の縮小・撤去(米軍普天間飛行場の閉鎖・返還)▽日米地位協定の全面改正▽自衛隊海外派遣の恒久法に反対−−などを盛り込んだ。
生活関連の具体策は▽最低賃金の時給1000円以上への引き上げ▽月8万円の最低保障年金創設▽労働者派遣法の抜本改正−−などを列挙した。【田中成之】
この続きは毎日新聞を読んで貰うとして、社民党のこの公約に対して、mixi上では冷笑どころか罵倒の嵐である。
だけど、先進工業国の最低賃金って、どのくらいなのかというと、実は日本よりずっと高かったりする。
最低賃金制をめぐる世界各国の動き
http://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/2008/080912_03.html
フランス \1,384
イギリス \1,254
オーストラリア \1,401
アメリカ改正見込 \825
データが1年前とかでちょっと古いけど。
こうしてみると、別段、日本の最低賃金も生活保護も高くない。むしろ先進国レベルで言うと残念ながらかなり低い方。この低さが、世界第二位の経済大国を支えているともいえなくはないが、そこまでして達成する経済成長とは何なのだろうか、という気もしなくもない。
今週の東洋経済の、「経済を見る目」ではGDPは政策の最終目標ではないとして、次のように述べている。
われわれは経済政策の目標の一つとして、当然のように高いGDP成長率を掲げる。しかし、なぜGDPなのか。多くの人は自明の理と考えるが、実はGDPそのものは政策の最終目標ではない。最終目標は、国民の経済厚生の向上である。もし、GDPが目標になるとしても、それは中間目標であり、追求の仕方によっては最終目標を大きく損なう。
その上で
経済政策を決定する際、それが持続的な所得水準や消費水準の向上につながるか、という観点で判断されなければならない。
とも言っている。その意味からすれば、社民党の公約(もっとも最低賃金1000円は民主党も言っていたような気がするが)も、すぐに実現可能かはともかく、経済学上は相応に根拠のある主張であるといえるだろう。
ただ、ここでネックになるのが、mixiで罵倒をしているような社畜さんと呼ばれる方々であって、実は、クリアしなくちゃいけない課題は、ホントなら自分たちの側にいるハズの「経営者目線」の社畜労働者さん達だったりする。
日本型経営が崩壊し、終身雇用が崩れ、会社による福利厚生はどんどん減少しているにもかかわらず、それでもサービス残業を厭わずに会社に専修念仏のごとく捧げている方々だ。個人の生き方としてはまったく否定しないけれど、それが結果として労働価値のダンピングにつながりかねず、めぐりめぐって、自分たち自身の首を絞めている、ともいえなくはない。
まあ、つまり、1000円以上で、問題を抱えながらもやってる国がある以上、それは全くの妄想でも何でもなく、「そーいう社会も存在する」くらいには認識をしても良いんじゃないかと思った次第。