あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

奇想の王国 だまし絵展

Bunkamuraザ・ミュージアムのHPは↓
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_damashie/index.html

「だまし絵」は、ヨーロッパにおいて古い伝統をもつ美術の系譜のひとつです。古来より芸術家は迫真的な描写力をもって、平面である絵画をいかに本物と見違うほどに描ききるかに取り組んできました。それは、そこにはないイリュージョンを描き出すことへの挑戦でもありましたが、奇抜さだけでなく、あるときは芸術家の深い思想を含み、また時には視覚の科学的研究成果が生かされるなど、実に多様な発展を遂げました。本展覧会では、16、17世紀の古典的作品からダリ、マグリットら近現代の作家までの作品とともに、あわせて機知に富んだ日本の作例も紹介し、見る人の心を魅了してやまない「だまし絵」の世界を堪能していただきます。

 渋谷のBunkamuraで行われているだまし絵展についに行ってきた。
 ホントはもっと早く行きたかったけれど、グズグズとしている間にいつの間にか今頃になってしまった。夏休みと言うこともあり、親子で来ていたり、中学生くらいが友人同士で来ていたりと、会場は結構混雑していた。やっぱり早めに行くべきであった(苦笑)。
 毎度の事ながら、絵に疎い管理人のことなので「だまし絵」と聞いて思い浮かべるのはエッシャーの絵くらいだ。そんな管理人のボキャブラリーにアルチンボルドが加わったのは大きいかも(笑い)。
 今回の展覧会のタイトルにもある「奇想の王国」というのはこのアルチンボルドを抱えた国王、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世による治世から採ったらしい。科学や芸術を積極的に保護した(政治には無関心だったようだが…)ルドルフ2世治世下の首都プラハでは多くの芸術家が活躍したという。

 今回新たに発見できたことは、だまし絵は非常に幅の広い分野を指しているということ。「トロンプルイユ」とかトリックアートとか、いろんな形式をはじめ、さまざまなだまし絵が存在するのは面白い。
 それでも「だまし絵」というのは、あくまでも騙している絵である以上、それが騙されなければ意味をなさない。つまり、騙されていることに最初から最後まで気づかなければだまし絵としては成立しないのだろう。だから、ホントとウソの限界を画家は見抜かなければならないから、それは大変な力が必要だ。
 騙される以上、そこに描かれた絵は、通常の静物画以上にリアリティ溢れる静物画である。そうでなければ、騙されないからだ。けれど、だまし絵であるから、そこに「騙している」要素を同時に埋め込まなければならない。ユーモア精神があったんだなぁ…なんて妙な感心をしてしまった(笑い)。

 そんなわけで、当然のことながら過去から現在までのだまし絵をさまざまな作家達の作品を通じてみたわけだ。とりわけ今回の展示は解説がかなり丁寧で、勉強になること多数だった。置き場に困るけど、久しぶりに図録を買ってみたし。流して読んでしまった解説をはじめ、またあとでゆっくり読んでみたいと思う。
 期間中は無休、金曜土曜は20:30まで開館しているので、機会があったらゼヒ。