あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

僕らの憲法学―「使い方」教えます

僕らの憲法学―「使い方」教えます (ちくまプリマー新書)

僕らの憲法学―「使い方」教えます (ちくまプリマー新書)

 毎回レビューを頑張って書こうと思ったけど、読んだ本をいちいち詳細にレビューしていると時間が幾つあっても足りないので、読書メーターに載っけた寸評にちょこっと書き加えてお茶を濁す
 ちなみにそんな本があと10冊くらいあって萎える。その中には(自分の記憶の定着のために)一生懸命レビュー書かなくちゃいけない本がいくつかあるのは事実なんだけどさ。

 今回のヤツもプリマー新書と言うことで、高校生あたりを対象にしている。
 前半部分では憲法の核心を「立憲主義」におくというオーソドックスなモノ。しかし、ここでの説明は極めて重要だろう。

 立憲主義とは何か?本書では、冤罪事件を紹介し、その中で次のように説明している。

 「公権力が犯罪を取り締まるためにしてはいけないことを、憲法は『人身の自由』として規定しています。こういう意味で、憲法が定める人権とは、公権力がしてはいけないことのリストなのです」(p.25)

 また、映画「それでもボクはやってない」(加瀬亮主演のチカン冤罪映画)を紹介しながら次のようにも述べる。

 「近代法は、『やられたらやりかえせ』といったあきれるほど分かりやすい私的な復讐を禁止し、国家に暴力を独占させ、治安を維持するために犯罪を取り締まり刑罰を科する権限を一任しました」
 だからこそ、「推定無罪の原則」によって、国家刑罰権の発動は検察側が「きちんと有罪を立証できない限り裁判官は無罪と判決しなければならない」

 ということになる。

 また、公務員志望の学生が、公務員を志望できるのも、実は近代市民革命の産物であったことを指摘している。これが「すべての市民は、法律の前に平等」であるというフランス人権宣言の意味があるのである。

 後半からは、憲法の期待する人間像を軸に話をしているが、そうなると憲法学と言うよりもかなり規範理論に近い話になる。フォーカスがぼやけた印象を受けるのもその為で、このあたりは好みが分かれそうだ。とりわけ、憲法9条の話は、憲法学的にはそうなのかもしれないけれど、ここでの議論の水準に留まる限り、かえってマイナスに作用するんじゃないだろうか?という疑問がないわけではない。

 とはいえ、中盤部分までは文句なしに初めて憲法を知る人に薦められる。
 法学部の学生には物足りないだろう。

 一般教養レベルならば、樋口陽一日本国憲法――まっとうに議論するために』がオススメ。
http://d.hatena.ne.jp/takashi1982/20060815/1155660522

 3年前に感想upしているので、気になればドーゾ。