あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

カムイ外伝

 ネタバレするので、観たいヒトはスルー奨励。

 仕事を定時近くに切り上げて、映画を見る。
 何を見ようとは思っていなくて、映画館に着いたらちょうどカムイ外伝がやり始める時間帯だった。

 脚本は宮藤官九郎、監督は崔洋一である。毎度のことながら、熱心な映画ファンではない管理人は崔洋一と聞いても、『血と骨』とか『クイール』とかしかイメージになく、むしろテレビタックルにゲストとして出ていたことの方が印象的だ。(ここ数年のタックルは見るに堪えない)。
 そんなわけで、崔洋一にCGというのは意外な感じだった。

 結論から先に言えば、アクション映画としてみるにはアクションが稚拙であり、CGが稚拙である。ハリウッドや韓国映画のテンポ感や躍動感に比べると大分開きがあることは認めざるを得ないだろう。だとすれば、カムイ外伝という作品の持つ内容的な深みがあるか、つまり作品が非常に内省的であるかと言えば、そうでもなく、もっとこの原作なら生かせたはずだというのが個人的な感想だ。

 「カムイは非人である」というくだりからも分かるように、江戸時代における被差別部落出身のカムイが少年時代に「ワシの流している血もお前らと一緒だ!」と言うシーンがあったりするが、結局そこは後景に退き、「抜け忍」カムイが「追い忍」たちに追われ、やっと小さな漁村で人間味のある暮らしをするが、そこにもやがて…という典型的なストーリー。

 なんだけど、本来であればそこに非人である、とか他の要素が絡むことで、もっと内容的に深くなったハズだろう。その意味で、ある意味健康的な、ある意味非常に単調なカムイ外伝となった。そこはクドカンゆえだと思う。(どう評価するかは別として、ね)

 役者は小林薫佐藤浩市の芝居が素晴らしい。コレを観れば、最近のドラマのタレントはハッキリ言って学芸会である。そして伊藤英明小雪とも、これまた良かった。とりわけ伊藤の演技についてはブーを出すヒトが多いけれど、少なくとも本作品における伊藤の演技は良い。それは崔洋一によるところが大なのだろう。 


 主演の松山ケンイチについてコメントしなかったけど、非常に頑張ったと思う。少なくとも芝居に対して不満はなかった。朴訥としているところで、カムイの背負った苦しみが上滑りしなかったのは大きい。そして、彼はキレイすぎないというところで、映画俳優として向いていると思う。着実に地歩を固めているという印象だった。