あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

母子家庭は働いてない?

時事通信の記事冒頭部分を引用。 

一人親世帯の54%「貧困」=先進国で最悪−厚労省調査


 厚生労働省は13日、世帯主が18〜64歳で子どもがいる世帯の相対的貧困率が2006年時点で12.2%だったと発表した。このうち、一人親世帯の相対的貧困率は54.3%に上った

 この記事を巡るYahoo!のコメントがいつものとおり酷い。

最低水準というけれど、実家で親元にいればパートで十分食べていける。
親に子供を預けて、適当に遊び歩いている母子家庭の母親もかなりいる。
また同居でなくても、公団に入居できればパート母子なら無料だろう。
この最低水準というのは、各種手当や優遇を入れての数字なのか疑問。

そもそも1人親家庭が、生活が苦しいのは当然。
それを踏まえて離婚するのだから、人一倍努力するか甘んじて受け入れるべき。
生活していけないから、離婚を諦めて家庭生活を続ける努力をしている人なんて五万といる。

 まったく、自らの卑しい品性と無知と傲慢ぶりを遺憾なく発揮したコメントである。
 (それにたして「そう思う」をクリックしている、人間もいるわけだが…)
 「アウシュヴィッツのウソ」のように、ウソも100回言えばホントのように感じてしまうだろうから、ちょこっとデータをあげておこうと思う。
 
 若干データが古いが、厚生労働省の「平成15年度における母子家庭の母の就業の支援に関する施策の実施の状況報告」から引用してみる。

母子家庭1世帯当たりの平均所得(243.5万円)の内訳をみると、その80.4%は「稼働所得」(195.7万円)であり、13.2%は公的年金・恩給以外の社会保障給付金であり、この公的年金・恩給以外の社会保障給付金の中には児童扶養手当も含まれている

母子家庭の母の84.9%が就業しており、就業している者のうち常用雇用者が50.7%、臨時・パートは38.3%となっている(厚生労働省雇用均等・児童家庭局「全国母子世帯等調査」(平成10年))。


平成15(2003)年における母子世帯の完全失業率は8.9%であり、前年に比べ、0.5%改善しているものの、一般世帯の完全失業率5.3%に比べ高い水準になっている(総務省統計局「労働力調査」)。

 ちょっと調べれば、これくらいのデータは出てくるのに調べず、憶測で書いている。「遊び歩いている母親もかなりいる」というのは一体どこのどのデータからそのようなコトをいうのか皆目見当が付かない。
 さらに、この母子家庭の就労率は他の先進国から見てもずいぶんと高いのだ。
 

世界的にみると、母子家庭の就労率は、アイルランド23%、イギリス41%、アメリカ60%、ノルウェー61%、イタリア69%、スウェーデン 70%となっており、先進国中でもっとも高い(財団法人家計経済研究所編『ワンペアレントファミリー(離別母子世帯)に関する6カ国調査』9ページ)。

 もちろん、日本での母子世帯数は、平成15(2003)年段階で1225400世帯だから、中には親としての自覚がない人間はいるだろう。
 日本社会は世界的に見ても人口の多い社会であり、そーいう極端なサンプルも「絶対数であれば」、そこそこ出てきてしまう。(だけど、上の書き込みは、印象論で社会問題を語る姿勢としてはまったくの落第である)

 ちょうど、上のような書き込みをしているような人間と同じように。

 なので、極端なことを言ってもしょうがないわけで、実際どうなのさ?といえば、やっぱり母子家庭は貧困が多い、と言わざるを得ないだろうとおもう。