あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

稲田朋美と夫婦別姓

 いわゆる「小泉チルドレン」の1人で、「日本の戦争責任について否定的な立場を取っている。日本の戦争責任を追及・告発したマスコミやジャーナリストを相手取った裁判に弁護士として参加することも多い。」(wikipedia)という、あの稲田朋美議員が東京新聞の紙面で興味深い発言をしていた。

どうなる『夫婦別姓』 見直し答申13年
東京新聞2009年11月19日

 夫婦が同姓か別姓かを選ぶことができる「選択的夫婦別姓制度」。法制審議会が1996年、婚姻時に夫婦どちらかの姓に統一する現行制度を変えるべきだと答申したまま13年も放置されてきた。このための民法改正案を、千葉景子法相が来年の通常国会に提出できるか、注目を集めている。夫婦は同じ名字であるべきか−。推進派の「mネット・民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子共同代表と、反対派で弁護士の稲田朋美衆院議員(自民党)に聞いた。 (社会部・佐藤直子

 個人的に稲田と管理人の立ち位置とは正反対の方向にいる。『沖縄ノート』の著者である大江健三郎と出版社の岩波書店を訴えた大江健三郎岩波書店沖縄戦裁判において原告側の弁護士を務めたり、アメリカ下院の従軍慰安婦の決議への反論広告をしたり…etc. まあ、その活動は自由だが、天文学の分野に占星術を持ち込んでいるかのような御仁であって、人文科学から見れば、それは科学に値しないと言うことになる。

 そうした心情の持ち主である稲田であるから、夫婦別姓についても当然のことながら反対の立場なのだが、彼女自身の説明は、管理人自身にとって結構意外であった。

 「夫婦別姓は、民法で規定された伝統的な家族像を崩壊させるきっかけとなる」もので別姓賛成派は「言行の戸籍制度を崩壊させようと確信的に目論んでいる人たち」だという。 それでもって、別姓のあと、更なる「危険な方向へ引っ張られかねない」という、想像力を逞しくしていて、ここまではいつものトーンであり何も驚かなかったのだが、次からが想像とは違っていた。

 「私自身は『同姓でなければ夫婦の一体感が崩れる』という反対論は形式的理屈だと思う」だといい「同姓でも仲の悪い夫婦はいくらでもあり、事実婚でも仲の良い人はたくさんいる」と述べている。
 だとすれば、一体何が彼女を反対に駆り立てるというのか、といえば「何が原則かは非常に大切」であって「民法上の制度を破壊しなければならないほどの非合理があるとは思えない」と結論づける。


 この稲田の立場は端から見ると分かりづらいものがある。だが、本人の中ではそれは内的一貫性を持っているハズである。
 民法上の、夫婦は戸籍における同姓たるべしという批判が形式的理屈だと理解しつつも、彼女自身が別姓制度に反対の目的はそこにはなく、「危険な方向へ引っ張られかねない」から反対なのであろう。その危険は方向の先にある社会像がどのようなものかは本人に聞かなければ分からないのだが、それでいえば、西ヨーロッパ諸国は彼女にとっての危険な国になるのだろうか、なんて思ったりもする。

 仮に、稲田の主張の通りであれば、自民党事実婚の場合であっても、それは結婚である以上、戸籍の同一に関わらず扶養等の控除を認めるとか、旧姓の一般的使用の範囲を拡大するなどの方向を打ち出せばいいのに、なんて思ったりもした。
 あ、でも野田聖子は別姓推進論だよね。自身は保守だと言っているけれど、夫婦別姓の問題に関する限り、彼女の意識はかなりのところ、リベラルなところにいると思う。