あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

デプリーストとの再会@東京都交響楽団第690回定期演奏会

第690回定期演奏会 Aシリーズ(12/16)

会場:東京文化会館

指揮:ジェイムズ・デプリースト
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ブルックナー交響曲第7番 ホ長調

 つい最近、『のだめ』最終巻を読み終えたところだったけど、結局、デプリーストの登場はほんの数回だったなぁ…なんて思ったてた。まあ、マンガに登場しなくても、都響定期会員はこうしてデプリーストの演奏会を聴くことができるワケなのだが。

 さて、デプリースト2年ぶりの都響客演である。2年前は常任指揮者の肩書きだったが、ジュリアード音楽院の教授就任、同音楽院オーケストラの指揮者に迎えられた関係で、契約更新をしなかった(らしい)から、その後、まるまる1年以上のインターバルが空いてしまった。以前のブルックナーの2番が素晴らしかった(その代わり9番はイマイチだった)から、今回の7番も期待が持てる。

 では、順番に、シューマンのヴァイオリン協奏曲から。
 シューマン晩年の作品だけあって、響きがシューマン(←なんじゃ、そりゃ)。初期のオーケストラ曲とは異なり、「ライン」(交響曲3番のこと)と同様の重厚な、トゥッティ満載の曲だ。
 ソリストファウストシューマンの後期の作品(←精神病を患っていた関係で、曲が錯綜しているから敬遠する音楽家も多い)も積極的に演奏するだけあって、このヴァイオリン協奏曲も確固たる自信を持って演奏している。一般的な、シューマン晩年の作品は精神病によって破綻している、という見解は全くとらず、極めてロマンティックな、それでいて一本筋の通っている、芯の太い曲を奏でていた。
 ファウスト自身はいわゆる女流ヴァイオリニスト的な華やかさに欠ける印象だが、それに代わって余りある落ち着きと、芯の強さを感じさせる、女流ながらに硬派なヴァイオリニストだ。彼女ならブラームスのヴァイオリン協奏曲も非常に素晴らしいのではないだろうか。
 もっとも、若干気がかりなのは、ピアニシモがあまり美しくないところで、それは意図的なモノなのか、技術的な甘さなのかは管理人は判断が付かなかった。

 アンコール曲はバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタから第3番3楽章。この選曲も渋い。実力派ヴァイオリニストで、これからもまた聴く機会があれば是非聴きたいと思わせられる。


 後半のブルックナー
 デプリーストのブルックナーは、インバルほどテンポを動かさない、正調のブルックナーである。そして、デプリーストの特質はフィラデルフィア管を理想とするような芳醇な弦の響きである。管理人はデプリーストの弦へのこだわりと、都響の弦楽セッションとは親和性が高いと思っているから、7番のように「見せ場」の多い曲は楽しみであった。
 1楽章のブルックナー開始による弦のトレモロからすでに十分な質感と、続いてチェロの豊かな音色が響く。前回のインバルの時よりも、弦は豊かに鳴り響いている。前回は、ホールのせいで響きが浅いのかと思ったが、そうではない。結論から言えば、インバルの弦の処理に問題があったのだろう。

 今回特筆すべきは弦もさることながら、木管群の素晴らしさだった。オーボエやフルートが良く、とりわけ、ソロの箇所などは惚れ惚れする音色だった。管理人の席からはそのあたりがよく見えないので、誰が吹いているか全然分からないのだけれど、とにかく感動。
 さるものである(笑い)弦の鳴りっぷりもホントに良く、若干揃ってないところが玉に瑕だったが、文化会館でのブルックナーでこれだけ鳴らせられれば大満足である。

 よくを言えば、1楽章コーダの金管群はかなり抑えめだったけれど、ここはもっと強奏して欲しかった。ともあれ、文化会館でこれだけの成果だったから、サントリーはもっと凄いのだろうな、週末予定がなければもう一回聴きたいなぁ…と思った次第。


 結論。インバルはやはりマーラーのヒトだ。
 そして、デプリーストには年間1回のペースできて欲しいと思う。