あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

日本フィル「第九交響曲」特別演奏会

日本フィルハーモニー交響楽団「第九交響曲」特別演奏会2009
2009年12月22日19:00東京芸術劇場

指揮:広上淳一
トランペット:オッタビアーノ・クリストーフォリ【日本フィル客演首席奏者】
ソプラノ:釜洞祐子
アルト:重松みか
テノール錦織健
バリトン:河野克典
合唱:東京音楽大学


ハイドン/トランペット協奏曲
ベートーヴェン交響曲第9番《合唱》


 本年のコンサートのトリには例年通り、第九である。ただし、今年の場合、オケは日フィル、合唱は東京音大の多分、声楽科の学生さん。同大の声楽科は1学年50人ほどらしいから、半分以上は参加するのかな、なんて思いながら、開演時間を迎える。前プロのハイドン/トランペット協奏曲。

 ハイドン晩年の作品であるこの曲は、「トランペット協奏曲」といえば…というほどの「ザ・定番」である。ご多分に漏れず、この時期に書かれた協奏曲なので、トータルでも15分弱で演奏は終わってしまう。もうちょっとあっても良いかなぁ、と思わせる曲だ。
 演奏は日フィル首席客演のクリストーフォリだそうだ。後になって、よくよくプログラムを読んでみたら、なんと管理人よりも若い。一時はシカゴ響でハーゼス等にも師事したらしい(どの程度の関係かは分からないけれど)。
 感想を言えば、クリストーフォリはもっと上手くなる余地が多分にあるだろう。トランペットという楽器はそれだけで、他の楽器でも言えるんだけど、とりわけ)ホールにいる聴衆を圧倒する力のある楽器であると思う。何と言えばいいのだろう、決してがなり立てるような大きな音ではないけれど、透明感のある響きというのか、ホール全体をカタルシスで満たすというのか、そういう響きに不足していた。ところどころ音が濁っていたし。
 ともあれ、前プロとしては重くならずにイイ感じである。

 後半は第九。
 日フィルの第九は大体が、小林研一郎が指揮するのだが、今日と明日だけは広上淳一が指揮する。だからだろうか、広上はオケをドライブしているのだが、今ひとつ、指揮者の意思が完全に伝わっていないような印象を受けた。
 あと、これは個人的に広上自身の志向なのだろうけれど、彼はオケのバランスをとるために音を刈り込んでしまう傾向がある。だからバランスはとてもいいし、ところどころのffは非常に効果的であるのだけれど、第九という作品に対してはオケの響きが痩せているような感じだ。終楽章の二重フーガのあたりからオケはノッていたけれど、それくらいの音量が常に欲しいところだ。
 独唱は女声陣が健闘。男声陣は管理人の座った席(2F中列?というのかな、の真ん中へん)だと、余り届かなかった。向きが悪かったのだろうか?都響メインだと、あまり錦織とか歌わないからこの人がどれだけ声量があるのか良く分からない。

 それに比べると、合唱は二期会合唱団のような技巧的な上手さはないけれど、フレッシュさがあって聴いていて清々しい思いがした。やっぱり、第九に限って言えば、手垢まみれにならないで、「一人の友の友になろう」という理想的な、ある種の「青春臭さ」があったほうがよりこの曲自体が生きるのではないかなぁ。広上は、終楽章は非常に合唱に対して指示を出し、合唱もそれに良く応えていたと思う。