あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京都交響楽団 第704回定期演奏会 Aシリーズ(10/18)

会場:東京文化会館

指揮:ベルンハルト・クレー
ヴァイオリン:ラファエル・オレグ

R. シュトラウス交響詩ドン・ファン」 作品20
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
モーツァルト交響曲第31番 ニ長調 K.297 「パリ」
R. シュトラウス交響詩ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 作品28

 職人タイプの指揮者は評価が難しい。巨匠の至芸というべき演奏会を聴けば(例えばヴァントやスクロヴァチェフスキのように)その演奏会はまさに一期一会の何とも得難い体験だろう。だが、そこまでいかない場合は、余計な解釈をしないぶん、悪くはないけど、かといって取り上げられるほど「良かった面」もない。まあ、贅沢な悩みなのだが。

 クレーはドイツ出身の指揮者である。聖歌隊から音楽人生がスタートしているのだが、そんな彼も1936年生まれであるから、もう70代も半ばくらいになる。前回に客演したとき(ベートーヴェンの7番)と同じく、今回もクレーは対抗配置。左から1stヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンだった。コンバスは1stとチェロの後方に展開している。

 さすがにドン・ファンは壮麗だ。ドン・ファンが壮麗というのではなく、R.シュトラウス交響詩は1stヴァイオリンが16人、3管編成の大人数の曲だ。もっとも、それくらいしか記憶がない。しっかりこの大がかりな曲を交通整理していた。
 ヴァイオリン協奏曲はヴァイオリンのオレグは技巧派だけど古典に取り組んでいる、ということがプログラムには書いてあった。管理人のこの曲のイメージはCDで聴くオークレールによる演奏が念頭にあったので、その技術の確かさと、恵まれた体躯から弾かれるヴァイオリンはなかなか「キキモノ」だった。
 まー、管理人はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲自体が他のモーツァルトの曲に比べるとそんなに良くできてるとは思ってないのだが(苦笑)。

 休憩を挟んで、モーツァルトのパリ。これが一番良かったと思う。もっともモーツァルトのひらめきが感じられるような演奏ではないし、編成も小さく刈り込んでいたが、文化会館の大ホールだけれど室内楽的な弦を中心とするアンサンブルは見事だった。ここ数日は天候にも恵まれていたから、(いくらホールに空調があるとは言え)楽器には好条件であったのだろう。非常に良く響いていたのが印象的だ。
 
 最後のティルである。今回の演奏会は編成が大きかったり小さかったりで、曲がそれ程長くはない割には時間がかかっていた。これは改善すべきところだろう。暗転の多い舞台演劇がいやがられるのと同様である。だから、メインディッシュではなく、前菜をいくつも食べてお腹がいっぱいになるような感覚なのだ。コンマスのヴァイオリン・ソロはなかなかティルの臨場感(?)を表現できていて良かった。