藤野栄介『指揮者の知恵』 (学研新書)
- 作者: 藤野栄介
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 新書
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タイトルほど、大層なコトは書いてない。それこそ定番化しているが、『指揮台の神々』や、あるいは岩城宏之をはじめとする、指揮者のエッセイを読んだ方が「指揮者の知恵」をはるかに掴み取ることが出来ると思う。まー、そうですよね、という当たり障りのない感想を持ちがちな、そんな、雑誌に書いてあるような軽い文章だ。もっとも、文体が軽いとかそういう意味ではない。
とすれば、クラシック音楽とそれに関する本を全く読まないヒトが対象なんじゃないだろうか。オーケストラの指揮者はこういうもんだ、というような、一種のリーダー論とも言っていいのだろう。だが、それでいくと、古今東西の巨匠や名指揮者たちについて論じたモノの方が有益だろう。様々なタイプの指揮者がいて、「にもかかわらず」素晴らしい音楽を作り出すという事実があるのだから。(とはいえ、今どき、トスカニーニやメンゲルベルクのような人間が組織の上にいて務まるのか?という疑問はなくはない。でも、ブラック企業のトップとかそんな感じか、比べちゃあまりに失礼だけど)
そーいう位置づけであるとすれば、クラシック音楽のファンには物足りないと思うし、オーケストラにあまり興味のない人には、リーダー論としては中途半端な気がする。一番向いているのがクラシックの聴き始めくらいなら良いのだろうが。