あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

藤野栄介『指揮者の知恵』 (学研新書)

指揮者の知恵 (学研新書)

指揮者の知恵 (学研新書)

 著者は指揮や音楽プロデューサーといった職業をする人物で現在はロシアを中心に活動しているようだ。とはいえ、管理人は初めて目にした名前だった。もっとも、今では日本人指揮者も飽和状態だしなぁ。

 タイトルほど、大層なコトは書いてない。それこそ定番化しているが、『指揮台の神々』や、あるいは岩城宏之をはじめとする、指揮者のエッセイを読んだ方が「指揮者の知恵」をはるかに掴み取ることが出来ると思う。まー、そうですよね、という当たり障りのない感想を持ちがちな、そんな、雑誌に書いてあるような軽い文章だ。もっとも、文体が軽いとかそういう意味ではない。

 とすれば、クラシック音楽とそれに関する本を全く読まないヒトが対象なんじゃないだろうか。オーケストラの指揮者はこういうもんだ、というような、一種のリーダー論とも言っていいのだろう。だが、それでいくと、古今東西の巨匠や名指揮者たちについて論じたモノの方が有益だろう。様々なタイプの指揮者がいて、「にもかかわらず」素晴らしい音楽を作り出すという事実があるのだから。(とはいえ、今どき、トスカニーニメンゲルベルクのような人間が組織の上にいて務まるのか?という疑問はなくはない。でも、ブラック企業のトップとかそんな感じか、比べちゃあまりに失礼だけど)

 そーいう位置づけであるとすれば、クラシック音楽のファンには物足りないと思うし、オーケストラにあまり興味のない人には、リーダー論としては中途半端な気がする。一番向いているのがクラシックの聴き始めくらいなら良いのだろうが。