あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

N響 第1691回定期公演 Aプログラム 

1月8日 | 土 | 開場 5:00 PM 開演 6:00 PM NHKホール

室内楽
シュルホフ/コンチェルティー

ベートーヴェン / ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
チャイコフスキー / 交響曲「マンフレッド」作品58

指揮|ワシーリ・ペトレンコ
ピアノ|小菅 優

 年明けの連休だったから、午前中に都内にある(母方の)墓参を済ませ、親戚のお店で食事をした。割烹料理店なので、昼間っからなかなかしっかりしたものを食べる。まさに「ごちそうさまでした」という感じだった。
 その後、まだ昼過ぎだったので、そのまま帰宅するのもなんだかなーと思い、N響定期演奏会を聴きにNHKホールまで出向く。前売りではなく当日券を買うというのは何年ぶりだろうか?

 そもそも管理人にとってN響自体がよく聴くオケではない。朝比奈隆曰く「日本一の音」であることは確かなのだが、ホールにいつもガッカリさせられる。岩城宏之ではないが紅白をするホールでオケの演奏をするモノではない。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲1番は、のびのびとした気持ちの良い演奏だ。しっかり音量で、質実剛健ベートーヴェンのこの協奏曲をしっかりと弾いているのも素晴らしい。もっとも、3番以降のような内容の充実度はあまり感じられない曲なので、演奏は良いけれど…という感じだろうか。オピッツのような独墺系のピアニストだともっと面白く弾けるのだろうか。それでいえば、結構自由に弾いていたとはいえ、小菅優のピアノはややマジメかな。もっと打鍵に多彩なニュアンスがあったとしてもこの曲ならば許されると思う。3番4番だと最高に素晴らしさを発揮するようなタイプかもしれない。

 アンコールは革命のエチュード。ピアニスト本人が弾きたいのだろう。このプログラミングでいえば、その選曲は果たしてどうなのだろうか、と思わなくもない。だが、なかなか情念渦巻く、懊悩するかのような演奏だった。

 後半はマンフレッド交響曲だ。バイロンの劇詩から曲を作ったのでマンフレッド交響曲といい、チャイコフスキー交響曲では唯一番号が振って無い曲でもある。4番と5番の間に作られた曲で、根暗人間チャイコフスキーの作った、深刻ぶった曲である(苦笑)。マンフレッドの劇詩自体が深刻な内容なので。
 
 チャイコフスキーの曲の中では最大級の編成を誇る曲なのだが、芸術における「劇詩」と「音楽」とでは、感動する構成が異なるのではないだろうか。劇詩であれば、通用するような内容であっても、それが音楽になってしまうと今ひとつ感動が伝わらない。もっとも、これは指揮者の側にも責任があると思う。非常にしっかりと鳴らす指揮者だったが、この曲はそれこそ恥ずかしがらないで「悶えまくる」ような演奏が必要だと思う。それでいえば、指揮者のペトレンコはチャイコフスキーにしてはかなりスマートに演奏していた。

 N響は管楽器を中心に非常に良くなっていた。だけれど、これだけ鳴って、終楽章ではパイプオルガンも使用するのに、NHKホール全体が共鳴しないから、耳で聴くだけなら音量は申し分ないのに、いかんせん迫力に欠けている。(管理人は2階のC席)
 オペラシティなら音楽が飽和状態になるだろう(それはそれで過剰かもしれないが)し、東京文化会館でもホール全体が響き渡るだろう。だけれど、NHKホールはそれが起こらないのである。

 名演とホールの関係について考えさせられるコンサートだった。