あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

そもそも混同している。

 今日は憲法記念日。報道はビンラーディン一色とまでは言わないけれど、かなりの分量をそれに割いている。まあ、やむを得ないことではあるが。


「緊急事態規定」めぐり賛否=護憲、改憲両派が集会−憲法記念日時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011050300394

 ここで取り上げられているのは、憲法に緊急事態規定が無かったことによって、東日本大震災などの大規模災害に円滑に政府は指示を出すことが出来ない、という主張をする者がいる。

 本当だろうか?ここで中学公民レベルのおさらいをしてみよう。

 憲法とは、人権を守るために国家権力を制限するためのもの。

 法律とは、憲法に定められた国民の権利を保障するために、憲法に基づいて政府が国民に対して権限を行使するためのもの、である。

 だとすれば、大規模災害時において、人権すなわち、生命・自由・財産(←J.ロックのプロパティ論)を保障するために何らかの規定が必要であるとすれば、それは憲法上の要請ではなくて、法律上の要請である。

 従って、憲法に非常事態に関する規定がないから、大規模災害時に政府は充分な対応をとることが出来ないという主張は全くの謬りだ。

 今回の震災でも災害対策基本法原子力災害対策特別措置法を根拠に、政府は通常時ではできない指示を関係省庁や自治体、あるいは企業(東京電力)などに行っている。
 もっとも、そうした一連の「政府の対応」への批判は存在するが、それは日本国憲法憲法体系状の不備というのではなく、単純な「政治家個人の力量不足」である。

 付け加えるなら、我が国には「大規模地震対策特別措置法」もあり、今回の地震をきっかけに、これら特別法を(一般法に優先するものであるから)実情に応じて適宜改正すればよい。従って、結論としては、今挙げたように、この問題は法律問題であって、憲法問題ではないのだ。


 むしろ、憲法25条で謳われた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という生存権を手掛かりに、被災者への復興支援をいかに行うか、という視点こそが憲法上の問題としてあげられるはずである。(単純に行政の効率的な復興という次元ではない、という意味において・・・。)


 ま、大規模災害時において「土地収用や物資供出など強制力をもって一時的に権利を制限」(サンケイ)のような発想を持つ者にしてみれば、今の日本国憲法の人権規定なんて邪魔でしかないのだろう。だが、人権を制限することを大っぴらに認める憲法というのは、近代以降の国家における憲法ではない。

 どこぞの社会主義国家や独裁国家なら別だろうが。