あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

英雄の生涯@都響スペシャルを聴く

都響スペシャル 2011年5月13日 サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル

シューベルト交響曲第5番 変ロ長調
R.シュトラウス交響詩英雄の生涯」(ヴァイオリン独奏:矢部達哉


 4月のコンサートのトコロでも書いたけど、3月11日の地震の影響によって3月にあるはずだった定期演奏会は中止になり、インバルは去年以来の登場になる。
 東条碩夫は久しぶりのインバルによって、地震の影響で自粛のため公演が無くなって「錆び付いた」都響のアンサンブルが改善されることを期待した。一方、管理人は文化会館の演奏を聴く限りでは、特にそんなふうには思わず、出し入れの多いR.シュトラウスをインバルがどう思いっ切り鳴らすかに興味があった。

 さて、前プロのシューベルト
 最初からよく練られた響きだ。弦を中心に磨かれたアンサンブルによって「これが都響だ」という印象を与える。もっとも、インバルにワルター的な細やかなニュアンスを求めてもしょうがないので、その限りではあるのだが。よって、個人的には休憩を挟んだあとの、英雄の生涯が本番である。

 英雄の生涯は、冒頭のコンバスとチェロとホルンから始まる英雄のテーマからして、なかなかの迫力だ。R.シュトラウスの曲はいつも出だしで客を掴ませるようなトコロがある。
 今回も、ここからエネルギー全開かなと思ったけれど、意外なことにそうでもない。しかし「いつもの」インバルらしく、雄大で筋肉質な英雄像を表現している。アルプス交響曲の時はいささか山をかけ登るようなせかせかした感じが否めないスタイルでも、英雄の生涯は曲がそういうふうに出来ているので、ピッタリなのだ。
 見事なのはインバルのオケのドライビングだろう。コンバスにとどまらず、ホルンも8人いる100名以上のフルオーケストラによるこの曲を響きを混濁させることなく、それでいて音量を落とさせることなく、全力で弾かせていた。この芸当はなかなか難しい。

 曲については、もともとが香具師的な俗っぽい音楽だからベートーヴェンブルックナーのようなエクスタシーを聴いていて感じるような曲ではない。悪く言えばムーディなのだが、ただ、そうであるからこそ、R.シュトラウスの音楽に全力で耽溺してしまうのもたまにはアリだろう。ともあれ、これだけ「やりきった」英雄の生涯はなかなか実演で耳にしえないものであったことは間違いない。


 ところで、今回の都響スペシャルはぴあでチケットを買うと、チケ代が半額になったようだが、管理人が前売りを買ったときにはそんな情報一切無かった。まあ、今回はサントリーホール2階中央最前列のフツーならまず買えないような席だったからまだ許すけれど、座席によっては「ちょっと、その商売は、ねぇ…」と思う人がいても仕方がないだろう。そんだけ値下がりするんだったら、誰も都響ガイドでチケットを買わなくなってしまうのではないだろうか。