あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

藤原聖子『世界の教科書で読む 宗教』

世界の教科書でよむ〈宗教〉 (ちくまプリマー新書)

世界の教科書でよむ〈宗教〉 (ちくまプリマー新書)

 著者は東大教授。
 ちなみにほとんど同時期に、同じ著者による岩波新書も出ている。それは下の方。

教科書の中の宗教――この奇妙な実態 (岩波新書)

教科書の中の宗教――この奇妙な実態 (岩波新書)

 今回紹介するのは、岩波新書版ではなくて、高校生用に書かれた「ちくま
プリマー新書」のほう。タイトル通り、世界各国の教科書は「宗教をどのように教えているか」という観点で書かれた本だ。

 高校の倫理で宗教の話は一通り出てくるのであるが、三大宗教にしてもそれぞれ1、2時間で説明してしまうものだし、日本の宗教を取り巻く環境も関係しているから結構淡泊に進んでしまう印象がある。
 
 なので、そうした高校倫理を踏まえた上で、本書を読むと宗教理解に奥行きが生まれるだろう。同じキリスト教でも米英仏では採り上げ方は異なるし、宗教理解に際して、ケーススタディがあるのも面白い。
 たとえば、ある宗教観では個別具体的な状況(ヒトが困っているとか)にどのように行動すべきか、考察させたりと、いろいろ工夫されている。その点で言えば、宗教学的な理解と言うよりも、道徳とセットになっているともいえる。

 そして、何より重要なのは宗教が寛容の精神を要請しているという、指摘だろう。プリマー新書ながら、なかなか面白いテーマだし、為になった。 岩波新書版も読まなくちゃなぁ…。