あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

ジュニア 日本の歴史 5

ジュニア 日本の歴史 5

ジュニア 日本の歴史 5

 
 日本の歴史の通史としては、中央公論社から出ている(今では中公文庫から出ている)ものや、岩波の「講座日本史」などが有名だろう。中公のものは「歴史学の大家」たちがまだ若かりし頃に執筆したが、見通しの良さは時代を経た今でも学者からの評価は高い。さらには、小学館は通史を2度出しているし、管理人が高校〜大学の頃は講談社網野善彦迎えて、新進気鋭の学者を揃えて通史を出していた。

 21世紀になってから新しく通史を出した小学館なのであるが、さすが「小学館」と言うべきか、ついに子ども向けの日本通史シリーズである。しかも第一級の執筆陣を揃えている。ハードカバーに全7巻というのは中学生あたりを対象にしている本としてはなかなかのボリュームではないか? ハリーポッターのような小説ではないのだから。

 今年(2011)出版された江戸時代を扱った第5巻も、大石 学教授が筆を執っている。中学の教科書の行間を埋めるような解説が施されており、最新の研究も取り入れた社会史や生活史に重点が置いてある。これを読むと、当時の江戸町人の生活が分かって面白いし、なにより今まで単語だけでしか分からなかった歴史用語が非常に良く分かるのだ。 中学生あたりが対象なのだろうが、その内容は結構深くて、山川の詳説日本史を読んで疑問に思っていたことが随分とスッキリした。一時期、書店で流行った「山川の日本史」を読むよりこっちを図書館なんかで借りて読んだ方が遙かに面白いと思う。

 あと、特筆すべきは当時の資料をカラーイラストで積極的に紹介している。
 資料の選別が秀逸である。日本史の図説・資料集には取り上げられてこなかったものがふんだんに用いられており、それを見るのも面白かった。