あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京シティ・フィル 第259回定期演奏会 飯守泰次郎 ブルックナー・ツィクルス 第1回

モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
ブルックナー 交響曲 第4番 変ホ長調 「ロマンティック」(ハース版)

指揮: 飯守 泰次郎
ヴァイオリン:ジェニファー・ギルバート
ヴィオラ:ハーヴィー・デ・スーザ

 東京シティpo.&飯守によるブルックナー・チクルス。全曲演奏するのかと思ったら、4/5/7/8/9/テ・デウムをやるらしい。
 個人的には飯守の6番は聞き物だと思うけどなぁ。
 さて、まず前プロのモーツアルトから。ヴァイオリンのジェニファー・ギルバートはN響でおなじみアラン・ギルバートの妹らしい。この曲が超絶技巧っていうようなものではないから、真価が発揮されているのかどうかは分からないけれど、それでも安定感はあった。モーツアルトだから、もっと変幻自在な感じがあっても文句はないけれど、まあ、そんなもんなんだろう。
 飯守のモーツァルトはしっかりと構成する。後でも話すけれど、たぶん、この人はワーグナーあたりが中心にあって、ベートーヴェンのようにモーツァルトを振るから、きわめてまじめな演奏になる。方向としてはベームのそれと同じかな。充実した響きによるカチッとはまった演奏だ。だとすると、もっとソリストは自由にやってもよかったかもしれない。

 次いで、メインとなったブルックナーの4番を聴く。確か10年前に同じコンビで聴いた記憶がある(当時は文化会館)。あの頃に比べると、飯守の解釈は、大分「待ち」の姿勢になってきたなぁ、と思う。以前は結構劇的な演奏をしたけれど、今回はオーソドックスなブルックナースタイル。それでも、ワーグナーで鍛えたピークへの持って行き方は健在だ。
 弦をたっぷり鳴らし、オペラシティの豊かな残響も手伝って、分厚い響きを生み出していた。トロンボーンやホルンも大健闘している。久しぶりの「安心して聴ける」ブルックナーだ。時折、テンポが揺れているが、4番だから、あれくらいの芝居っ気があっても良い。
それにしても、安心してブルックナーが聴ける指揮者のホントに少なくなった。朝比奈隆やヴァントらの神々しいまでのブルックナーは今後聴くことが出来るのだろうか…。そんな10年以上前の実演を思い返しながらも、今日はなかなか満足できた。