あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』

家族・私有財産・国家の起源―ルイス・H・モーガンの研究に関連して (岩波文庫 白 128-8)

家族・私有財産・国家の起源―ルイス・H・モーガンの研究に関連して (岩波文庫 白 128-8)

 この感想を上げる時点で、読書メーターの読者は26userしかない(苦笑)。ウェーバーのプロ倫が800user超えしているのに比べてあまりに少なく、近年のマルクス主義に対する見方を象徴してるともいえる。確かに資本論や初期マルクスの著作に比べて、本書は「唯物史観」の典型であり、その意味で今日読むと、古臭さは否めないものがある。だが、「正統派的なマルクス主義」が廃れた今だからこそ、本書はもっと自由に読まれて良いと思う。
 内容は副題にあるように文化人類学者である「モーガンの研究に関連して」家族や国家の起源について説明している。原始社会は男女ともに平等であり、集団生活を送っていた、まさに「原始共産制」である。だが、やがて徐々に文明が発達するにつれて人びとは「財産」を持つようになる。野蛮状態から、未開へと進化し、文明社会へいたるのだ。その際、財産の発生はそれを囲い込むために、つまりは私有財産制が確立するために、男性は女性を所有するのである。

 そうやって氏族的な共同体から家族は発生し、文明が進むに従って、それはより大いなる国家へとその機能は補完されていく。

 現在ではどこまでモーガンも妥当するか怪しいけれど、ともあれ、財産制度から家族の誕生を説くあたりが、さすがにエンゲルスである(笑い)。