あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

残響1.3秒のハルサイ


出演: ダニエル・ハーディング(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

埼玉会館 大ホール

曲目: チャイコフスキー交響曲第4番 ヘ短調 作品36
ストラヴィンスキーバレエ音楽春の祭典

 先週に聴いたハルサイの話をちょっとしてみる。
 指揮者のハーディングはイギリス生まれで、ラトルのアシスタントを務め、その後、アバドに認められて二十歳ちょっとでベルリンフィルを指揮したという、なんともシンデレラボーイのようなストーリーを持つ人物だ。

 新日本フィルではミュージックパートナーに就いているので、年に数度は客演にきてくれる、そんな指揮者である。管理人も聴いてみたかったのだが、今まで時機を逸していた。それがいよいよ埼玉に来るではないか。それも埼玉会館である。音響的には所沢ミューザでないのが残念なのだが、自宅からの交通を考えるとバスで通える埼玉会館は非常に楽である。

 ただし、演奏は良くも悪くも残響1.3秒の埼玉会館の特性が遺憾なく発揮された演奏会だった。
 カーネギーホール1.8秒、東京文化会館1.6秒に対して、埼玉会館の残響は実に1.3秒、ちなみにあの日比谷公会堂は1.0秒だという。つまりは実に響かないホールである。

 残響のないホールでは、気をつけないと音楽がポツリポツリと切れてしまうために、オケはしっかりと鳴らし切ることが大切だと思う。じゃないと、なんともみっともない。

 ハーディングはチャイコフスキーなどはフレーズを大きくとっていたため、そうしたホールのマイナス要因は余り感じられず、弦楽器などは音がダイレクトに伝わってきた。非常にハリのある演奏である。野暮ったいようなロシア・ロマンティズムは後景に退いているが、ハーディングとしては、しんねりむっつり仕上げていきたいような雰囲気はあった。現にもっと厚みがあれば良かったのに。 

 ハルサイはそうしたあるいみでの「力業」が上手く発揮されていたように感じられた。大地を踏みしめるような中側から沸き上がるようなハルサイ。ハーディングはベルリンフィルを指揮したことがあるからだろう。このオケを小さくまとめるのではなく、大きく音を出させることによって、しっかりとした音価をもたせている。それが神経質にならなくて良い感じだ。