あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)

 新書で読める国際関係論の良書とでも言うべきか。著者は慶大教授で、専門はイギリス外交史のようだ。本書はそうした著者の専門であるイギリス外交史を基軸としながら、ウィーン体制から国際秩序を俯瞰する。国際関係を「均衡の体系」「協調の体系」「共同体の体系」と大きく分類し、ヨーロッパの外交史を通じながらそれがいかに変容してきたのかを論じる。私の個人的な印象だけれど、著者はある程度、ポリティカルリアリズムの立場に立ちながらこの300年程の歴史を見ているように思える。
 それでいえば、本書で紹介されている高坂正堯坂本義和との論争が紹介されているが、高坂的な視点が強いと言えるだろう。ただし、均衡や協調の体系もある程度の文化や文明の共有などが歴史的には前提とされていた。著者も繰り返し指摘するように、とかく我々は対外関係を二国間で考えがちだけど、「国際秩序」として、多国間の枠組みの中でその二国間関係はどのような意味を持つのか、という視点こそがリアリストが持つべき視点だろうと思う。
 だから、これとは別の見方による国際関係,国際政治を知りたいならば、藤原帰一『国際政治』(放送大学出版)を読むと幅が出てきて面白いのではないか?