- 作者: 福田歓一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/06/16
- メディア: 文庫
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本書の前半部分はルソーの生涯を追っている。後半は学問芸術論・不平等起源論・社会契約論などメインにルソーの思想を解説している。さっきも書いたとおり、これらに共通する文明批判とその克服としての社会契約などの枠組みが極めて厳密に論考されている。正直、この部分は思想史プロパーでないと難しいと思う。まず「はじめに」から読んで、次いで巻末の「付論」としての講演会の原稿を読んで、吉岡知哉の解説を読んでから、本論に入ると読みやすいと思う。
この分量だと期待するのは無い物ねだりなのだけれど、個人的には『山からの手紙』や『孤独な散歩者の夢想』までを射程に入れて、どういう考え方なのかを論じて欲しかった。(多分、仲正が厳密な意味での共通する思考をルソーにはふさわしいと考えてないのは、この辺もあるのだと思う。自分も個人的にそっちの側なので・・・。)