あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京都交響楽団 第748回 定期演奏会Aシリーズ

指揮:アンドリュー・リットン
ピアノ:伊藤恵

プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」第3組曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調
プロコフィエフ交響曲第4番 ハ長調(改訂版)


 2012年度のラストになる都響定期公演はモーツァルトのピアノ協奏曲第21番とプロコフィエフ交響曲第4番だった。指揮のリットンはアメリカ人指揮者である。BBCプロムスには毎年出演しているという。また、自らピアノを弾きながら指揮も行う「弾き振り」もしている。もっとも、写真で見たよりも、見た目がハンプティ・ダンプティみたいだなーと、失礼にも思ってしまった。どっかで目にしたことのある名前だと思ったが、何年か前にN響も振っていたようだ。
 演奏のタイプは、見た目通り(失礼)に、神経質になるところが無く、しっかりと音を鳴らす、大らかな音楽づくりをしていた。
 プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は第3組曲だから、おなじみのあのフレーズはない。そして、スラヴ的なある種の野暮った(というか民族性)さは感じられない。その代わりにチャイコフスキーに通じるような華があった。これを聴くと、確かにチャイコフスキーなどに続く一つの系譜とも位置づけられるんだな、と思う。
 
 次のモーツァルトも厚みがあって、充実した響き。個人的には第21番はあまり聴かない曲だ。けれど、この曲はオケが大分シンフォニックになる曲でもある。ピアノが重要なのはもちろんだけれど、オケの厚みも必要だろう。
 伊藤恵は安定感あるピアノだった。宇野功芳的な「チャーミングの極み」からは大分離れているが、芯の通った音楽は、響きの充実を生み出し、確かにジュピターに連なるもの(同じくハ長調)だと実感できた。

 後半のプロコフィエフ(この曲の日本初演都響&デプリーストだったようだ。デプリースト他界に合わせるように演奏されるこの曲になにやら縁を感じてしまった)も、良い意味で音楽に遊びがある。ストイックな演奏というよりも、この作曲家は確かにロミオとジュリエットも作曲したんだよな…と思わせる華やかさがあった。
 歌わせる箇所では必ずテンポを落としてじっくりと聴かせてくれる、メリハリの利いた演奏。それでもオーケストラの音は綺麗だし安心感が非常にある。この日はいつもの都響・弦楽器セクションの持つ美しさよりは、木管が良くなっていて、「この曲にはこんな響きがあるのか!?」という新鮮な驚きがあった。

 それにしても、今日の東京文化会館は良く鳴っていたな。気候条件が良かったのかも試練。プロコフィエフの4番、終楽章のコーダでも音が混濁しないのは流石だ。実に気持ちよく音が届く。