東京シティ・フィル 第268回定期演奏会
ブルックナー交響曲 ツィクルス第2回
指揮: 飯守 泰次郎
ピアノ: 菊池 洋子
モーツァルト / ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467
ブルックナー / 交響曲第5番 変ロ長調
アンコール
Gクルターグ ファルカシュ・フェレンツへのオマージュ
J.S.バッハ(M.ヘス編曲) 主よ、人の望みの喜びよ
飯守泰次郎/東京シティpo.によるブルックナーチクルス(第2弾)を去年に続いて聴いてきた。
去年はブルックナーの4番だったけれど、今回は5番である。5番をオペラシティのように残響豊かなホールで聴くとどうなるんだろう・・・と、かなり期待してホールへ行く。
まずはモーツァルトピアノ協奏曲21番から。この曲は今年に入って都響定期に続いて2度目だ。菊地のピアノは、伊藤恵とは違って、軽やかな打鍵である。大分印象が違う。そういえば、ラローチャのCDもこんな雰囲気の演奏だ。晩年の遙か彼方へ行ってしまうような世界と言うよりも、ハイドン-モーツァルト、の流れに位置づけられそうな感じを受けた。
それでいうと、宇野功芳的な用語でいけば「チャーミング」なのだろう(笑い)。
ブルックナーも尻上がりにヨカッタ。とくにティンパニがハマっていたのが印象的だ。金管もバテずに力強く最後まで吹ききった。バスをしっかりとならすおかげでずっしりと腸に響くようなパンチのある音楽である。もっとも、オペラシティはサントリーなどに比べると、「そう」響くホールだから、余計かもしれない。ともあれ、豊かに響くホールで聴くブルックナーはやはり良い感じ。終楽章で金管にフライングがあったけれど、コーダは圧巻である。
プログラムに飯守自身が、ブルックナーはロマン派ではなく、古典派のように純音楽だ、といった文章を載せていたが、聴いた感じだと、ワーグナーの影響を受けた、人間讃歌なブルックナーって感じだった。スクロヴァチェフスキもこんな感じに演奏するだろう。
それでいえば、今年の初めに聴いた、高関の同曲演奏の方がバロック的な静態的な演奏である。
ともあれ、聴くことが出来て大変良かった。やっぱりこの曲はホールで聴くに限るなぁ・・・。
追記になるが、ブルックナーは冒頭にケータイの電源OFFの電子音が鳴るし、1,2楽章では客席のビニールの音が終始うるさかった。都響定期では殆ど無いから、逆にびっくりしてしまった。