あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

的場昭弘「超訳『資本論』」 (祥伝社新書 111)

超訳『資本論』 (祥伝社新書 111)

超訳『資本論』 (祥伝社新書 111)

 著者は神奈川大教授。再々放送まで行われたNHK「1週間de資本論」に講師として紹介された著者による解説書。番組では「マルクス一筋30年」と紹介されていたように思う。確かにマルクスに関する著書多数であり、本書は「超訳」と言いながら『資本論第1巻』の逐条ならぬ「逐章」解説となっている。ここまで全ての章にわたって解説したものは今まで無かったと思う。解釈水準としても極めて妥当であり、宇野弘蔵なども指摘した商品交換の問題など丁寧に追われていて良かった。経済学からの資本論アプローチとしてファーストチョイスになるかも。
 続編(『資本論』第3巻までに対応し、全3分冊)もあり、TVでの注目がなければ恐らく本書は企画されることがなかったであろう。「資本論は一人じゃ読めないよ」と私の大学時代の恩師(フランス初期社会主義が専門の政治思想史学者)による言葉であったが、これなら1人でも読めるようになったと思う。