あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

都響&インバル/マーラー「千人の交響曲」

東京都交響楽団「作曲家の肖像」シリーズVol.96《マーラー
交響曲第8番 変ホ長調 「千人の交響曲

指揮:エリアフ・インバル
ソプラノ:澤畑恵美、大隅智佳子、森麻季
メゾソプラノ:竹本節子、中島郁子
テノール:福井敬
バリトン:河野克典
バス:久保和範
合唱:晋友会合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊

2014年3月8日(土)14:00開演(13:20開場)
場所:東京芸術劇場

 退院後初のまともな外出はインバル&都響で、マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」を東京芸術劇場を聴いた。
 運が良い事に、入院中と自宅療養期間直後にはコンサートも芝居も予定としてはなかったので、キャンセルする事もなかった。もっとも、今日、無事に最後まで聴き通せるかは若干不安だったけれど。

 都響とのマーラー「千人の交響曲」は埼玉会館で聴いたベルティーニのチクルス、また6年前にインバル(文化会館&サントリー)で聴いて以来の4回目である。6年前に聴いた演奏は全体的にメリハリが利きていて、マーラーの曲にある凸凹感とでも言うのだろうか(宇野功芳的に言わせると精神分裂気味な側面)、そういったものがかなり意識的に演奏されていたんだけれど、今回の演奏では特に第2部に包容力を感じさせる演奏だった。


 第1部は芸術劇場の大きなパイプオルガンによる和音からして迫力満点である。文化会館の演奏ではオケに飲まれてしまいがちだったが、さすがにあれだけのパイプオルガンだとここぞと言うところでしっかりと厚みを持たせた演奏になる。
 もっとも、グイグイと勢いある演奏はインバルの特徴でもあるけれど、このコンビでいつもの聴く演奏に比べると仕上がりが荒っぽいかな、とも思った。しかし、やはり第1主題の再現部になるとやはり圧巻だ。エネルギーが爆発しているような感じ。バンダは3階席の両サイドから吹きまくっていたけれど、サントリーの時よりは成功していたように思う。これはリニューアルした芸術劇場の音響も大いに与っている事だろう。

 しかし、今回、圧巻だったのは第2部だ。
 特に声楽が入るまでの冒頭は信じられないほど濃密な表現の連続である。今回の作品解説には岡田暁生が書いているが、それによると魂の救いは女性(妻、マリア)であるというのが、なんだか演奏からも実感できる。とりわけ第2部のコーダに相当する箇所の盛り上がり方は神々しくすらあった。
 これだけ大編成にも関わらず、実演のオケによる瑕疵はほとんど感じられなかった。合唱とオケとの間に挟まれた独唱人が時に辛いかな,とは感じたけれど、極めて完成度の高い大演奏だった。コレに匹敵する演奏はそう聴く事が出来ないんだろうなぁ・・・と思わせる、ある種、罪な演奏である。